１２８：豪華なお誕生日 〜J〜 ページ8
「いい。Aは座ってて？」
手伝おうと立ち上がったAに言う。
「けど…何かお手伝いするよ？」
「いいよ。今日はAの誕生会だから。」
キッチンに立ってAが褒めてくれたパスタの準備に取り掛かる。
ある程度の下ごしらえは終わってる。
「潤くん？ケーキしまっとくね？」
「あぁ。箱はテーブルの下。」
普通は、飯の時にケーキを出すんだろうけど…先に『おめでとう』を言いたかった。
少しでも誕生日に近い方がいいから…。
カウンターに肘をついて、俺が料理をするのを見てるA。
「…なぁ？」
「ん？」
「そこじゃなくて、こっち来いよ。」
「ん？どこ？」
手は塞がってるから顎で隣を指す。
「お手伝いしないのに邪魔じゃない？」
「平気。」
「…ん。」
Aが俺の隣に移動して来る。
「…A。」
「ん？何か手伝う？」
「…違う。」
俺の顔を不思議そうに覗き込むA。
きょとんとしたその目があまりに無防備で可愛いくて…思わずキスをした。
「…ん？」
「いや…あまりに可愛いから。」
「もぉ//」
照れるAはやっぱり可愛いくて。
「A？俺に抱きついて？」
「…はぁ？」
『何言ってんの？』ってAの表情と口調。
「だから、後ろから抱きついてって言ってんの。」
「何で？」
「『何で？』って…。俺がそうしてほしいから。」
「…邪魔じゃない？」
「全然。」
きっぱり言い切った俺の背後に移動して、ゆっくり腹に手を回された。
「ずっとそうしてて？」
「ん…。けど…本当に邪魔じゃない？」
「あぁ。」
むしろ嬉しいし。
「これじゃ、潤くんの背中しか見えない。」
「んじゃ、前に来るか？」
「そんな事したら料理できないじゃん。」
背中に感じるAの体温が、俺に安心感をくれる。
「背中からでも潤くんの音ってよく聞こえるのね？」
「そっか？」
「…ん。」
「じゃぁ、後で俺も試してみよ。」
今日は後ろからAを抱きしめて眠ろうかな？
茹で上がったパスタを具を炒めたフライパンの中に入れて絡める。
俺が動くとAも横歩きで動く。
「…できた。」
「そ？じゃぁ運ぼうか。」
Aが俺から離れてダイニングテーブルに移動して、カウンター越しに皿を運ぶ。
俺もシャンパンやら、作ってあったサラダを冷蔵庫から出す。
「すごい豪華なお誕生日ね？」
ってテーブルの上を見てAが嬉しそうに笑った。
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作者名：しおなな
| 作成日時：2013年10月5日 16時
