１２５：必要な事 ページ5
潤くんが車に戻るのを見送る。
「君は…すごく大事に思われてるんだね？」
「…はい。」
「自分の立場も忘れて、車から飛び出すくらいに…。」
潤くんから視線を水田さんに向け頷いた。
「もし、アイドルの…芸能人の片手間の相手だったら…許せなくて、無理矢理どうにかしてたかもしてない。」
「…はい。」
「けど…。…彼と話せてよかったよ。納得できた。…『嵐の松潤と話した』なんて自慢できるかな？」
『ははは』って笑いながら言った水田さん。
もしかして、水田さんを上辺だけで判断してたのは私の方だったのかもしれない。
「水田さん…？あの…色々ごめん『いいよ。俺も悪かったね？』」
最後までは言わせてくれなかった水田さん。
「ほら、彼がお待ちかねだから…早く行った行った。」
肩をポンポンと叩かれ、頷き一礼をして潤くんの待つ車に向かった。
小走りで向かった潤くんの車の後部座席のドアを開けて、素早く乗り込んだ。
「…おかえり。」
潤くんと対角線上にいる私を振り返る。
サングラスしてるから、表情まではよくわからないけど…声はすっごく不機嫌。
「ただい『まず携帯』」
『…はい』小さく言った私にため息をついて、車を発進させた。
携帯を操作している私に、
「お前は…俺を嫉妬させる天才だよ。」
って…。
「俺がどんだけ独占欲つえぇのか…まだお前はわかってねぇんだな。」
「…そんな。」
「…俺は、どう頑張っても…あんな風に堂々と一緒に外を歩けない。」
対向車線の車のライトが潤くんを時々照らして私に潤くんの横顔をはっきり見せてくれるけど…。
やっぱり、サングラスの所為ではっきり表情は見えない…のか…私が見ない様にしてるのか…。
「潤くんは…それが必要？」
「…うん？」
「一緒に外歩けないとダメ？私の『潤くんが好き』って気持ちだけじゃダメ？一緒にいれるだけじゃ…ダメなの…？」
涙声が震える…。
「…A、俺そんなつもり『それならもう潤くんとは無理じゃない？』」
もう無理だ…。
お互いが同じ方を向いてないと付き合いなんて到底維持できない。
しかも…私と潤くんの住む世界は違い過ぎるんだから。
「ちょっと待て！俺はそんなつもりじゃない！」
車が停まりドアの開く音で俯いてた顔を上げた。
素早く後部座席に乗り込んできた潤くんが、私の腕を引っ張って、座席に隠れる様に抱きしめた。
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作者名：しおなな
| 作成日時：2013年10月5日 16時
