１５７：ファン ページ38
私は電話したのに…。
出なかったのは潤くんの方で。
なのに一方的に怒られるのは納得いかない。
お友達にからかわれながらも、必死に私のご機嫌取りをする潤くん。
謝ってくれたし…。
でも、簡単には許したくない…。
って思ってた所に！！
私はあまり芸能界、芸能人に興味は無くて…。
邦画も殆ど見ない。
けど…けど…。
そんな私が、去年、静香ちゃんに無理矢理連れてかれた舞台。
そこで…彼…中西陵さんに一目惚れ。
正直、顔は万人受けするイケメン…ではないけど、スラッと背が高くて…ちょっと影のある雰囲気と話し方が何とも言えない。
まぁ…ファンだと言っても、逐一テレビや雑誌をチェックしたり…なんて事はしないけど。
「A…俺、初耳だけど？」
信じられないのか唖然としながら言う潤くん。
「うん。言ってないし。」
「…マジ…？」
「うん。カッコいい。」
「…。」
潤くんが絶句した…。
陵「いや〜、こんな美人さんが俺のファンなんて。光栄です。」
右手を差し出されて。
「…え？あ…ど、どうしよう。潤くん…。」
こういう場合って、素直に握手してもいいのだろうか。
隣の潤くんを見るとまだ固まっていて。
A「陵、すげぇな。今をときめく嵐より上だぞ？」
陵「な？世の中捨てたもんじゃねぇな。…で？何さん？」
「え？あ…あの…中山…Aです。」
陵「Aさん？Aちゃん？よろしくね？」
ってさっきよりも手を近づけたから、ゆっくり差し出すと、パッと掴まれる腕。
「Aに触んな。」
陵「『触んな』って…たかが握手じゃねぇか。」
「ダメ。絶対、ダメ。」
B「Aちゃんは握手したいよね〜。大ファンの陵くんと。」
A「潤やめて陵に乗り換えれば？」
C「そうだな、コイツそんなにモテないし、潤みたいに色々苦労もしない。」
陵「松潤…俺を睨むなよ。こえぇよ。」
「Aは俺んのだ。」
そう言って私を引き寄せる。
陵「はいはい。Aちゃんも大変ね？」
私を苦笑いで見た陵さん…やっぱり！
カッコいい！
「…A。いい加減にしろよ？」
「何にも言ってないじゃない…。」
「目が言ってんだよ。」
「…じゃぁ…やっぱり許さない。帰る。」
「…お前…。」
腰に回ってる腕を解こうとするけど、力を込められて。
「…離して…。」
「イヤだ。」
「…じゃぁ…何て言うの？」
「…ごめんなさい。」
「うん。よしよし。」
素直に謝った潤くんの頭を撫でた。
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作者名：しおなな
| 作成日時：2013年10月5日 16時
