１５５：悪い女 〜J〜 ページ36
映画の撮影も無事終わり、この世界の友達との呑み会に誘われた。
彼女同伴オッケーって事と金曜日って事で二つ返事で『行く』と言った。
迎えを頑なに断るAの気持ちもわからなくもないし、駅から店もそう遠くないから俺は店で先に待つ事にした。
店に着くと既に何人かいて既に呑み始めている。
まだ、１７時過ぎだぞ？
俺はAが来るまでは…と思いウーロン茶飲んでいるとAからのメールを受信して。
それに返信をしていると、『潤？』って声がして、送信をタップしてそちらに顔を向ける。
「…早希。」
「ふふふ。久しぶり。」
「あぁ。その後、どうだ？」
「…ん？それなりよ？」
少し寂しそうな顔をしたのが気になったけど…
「…そうか。」
だけ返す。
早希の手には俺と同じ飴色の液体…。
中身は全く違うだろうけど…。
そのままお互い話す事もなく…。
ただ、友人達が騒いでるのをボーッと見てた。
「…綺麗な彼女ができたって聞いたわ。」
「あぁ…。」
「幸せ…なのね？」
「あぁ。今まで無いくらい幸せで…今まで無いくらいに…女に惚れてるよ。」
「ふふ。ひどいわね…元彼女に向かって。まるで私とは遊びだったみたい。」
それだけ言うと、グラスの中身を一気に流し込んだ。
「…当時の俺は…ガキはガキなりに真剣だったろうが。遊びだったのはお前の方だろ？」
「…そう…だね。悪い女だった…違うわ。今でも、悪い女よ。私…。」
正直、今の早希の事なんてどうでもよかった。
いい女だろうが…悪女だろうが。
でも…。
「お前やっぱ何か…『お前、誰だよ？！そのちょー美人！！』」
思わず入口をパッと見ると目が合う。
…やっぱり。
「美人だろ？俺の新しい彼女。」
楽しそうに友人に言いながら、少し離れてるAの肩を強引に抱くソイツに近づく。
Aはどうしようかと、俺とソイツを交互に見てる。
「…離せ。」
腕を解き、Aを自分に引き寄せる。
「何だよ…そんなマジで怒んなよ。」
「潤はその彼女に関しては冗談通じねぇぞ？この間、大野くんマジで殴ろうとしたみたいだし。」
そんな事を言うヤツを見ると、
「ニノに聞いた。」
ってニカッて笑って言った。
「A…こっち。」
Aの手を引きさっきまで座ってたソファに戻る。
もう早希はいなくて…。
Aには悟られない様に横目でチラッと見ると、友人と談笑してた。
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作者名：しおなな
| 作成日時：2013年10月5日 16時
