１５４：デート？ ページ35
今更に思う。
何であんな約束したんだって。
何で『うん』って言ったんだって。
「Aさん！デートですか？すごい綺麗！」
興奮する静香ちゃんの隣に映る、あきらかにテンションが低い鏡の中の私。
「あれ？テンション低くないですか？」
「まぁね？二人きりじゃなくて…彼の友達も一緒。」
「顔見知り『じゃないわ』」
…私は画面を通して一方的に知ってるけど。
「それは気が重いですね。気を使って…愛想笑いして…。」
「頑張ってくるわよ。」
「きっと、綺麗な自分の彼女自慢したいんですよ！そうに決まってます！」
一生懸命、応援？慰め？てくれる静香ちゃんに、苦笑いを返し『お先にね？お疲れ様』と声をかけて化粧室を出て、駅に向かった。
電車を待ってる間に『今から向かうね』と潤くんにメールを送り携帯をバックにしまった。
迎えに来ると言った潤くんの提案を断ったから、自分ひとり電車に揺られ向かう。
潤くんの提案を断ったのは、『バレるんじゃないか』とハラハラコソコソするよりは、ひとりで向かった方が気が楽だと思って。
電車の中刷り広告には、嵐さん…潤くん。
カッコよく顔を作ってる余所行き潤くんは今だに見なれないし、本当に同一人物かな？なんて思ったり…。
指定された店の最寄り駅に着いて歩いて向かう。
３月に入ったとはいえ、夕方の空気はまだまだ冷たくて身を竦めた。
でも、確実に日の長さは長くなってていて、１８時近くても、そこまで真っ暗ではない。
まぁ…都心の人工的な光が溢れている中じゃ、自然の暗さなんてわかりづらいけど。
駅から１５分程歩いて着いたお店。
ドアの前に立ち…しばし考える。
どうしよう…さすがに知らない店、知らない人の中にひとりで入って行けない。
バックから携帯を取り出すと、画面にはメールを受信したとの通知。
案の定、『待ってる』との趣旨のメールで、潤くんがこの中にいると確信して電話をかけた。
…あれ？
トイレ？気づかない？
もう一度かけてみる…。
やっぱり出ない…。
どうしよう…帰ろかな…。
メール入れとけば平気だよね…？
メールを打とうと、画面をタップした時、
「あれ？潤の彼女？」
ってハワイで会った俳優さん。
「何やってんの？入んなよ。」
「いや、帰ろかと『いいから、いいから』」
半ば無理やり店に押し込まれ『こっち』と言う彼の後ろを着いて行くと、かなり大勢いて、潤くんをキョロキョロ探すと、この間テレビに映ってた女優さんと二人で話してた。
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作者名：しおなな
| 作成日時：2013年10月5日 16時
