１４９：積極的な 〜J〜 ページ29
「潤。」
マスターが酒を持って来てくれる。
「あぁ、サンキュー。」
「あ、今日の貸切料もお前持ちらしいぞ？」
「あ？！聞いてねぇけど？！」
顔を二人に向けると、気まずそうに視線をずらす。
「…どっちが『オイラがもちろん払います。払わせて頂きます』」
「ですよね〜。ニノちゃんは『呑み代な』」
俺と視線を合わすと苦笑いで頷いた。
「んで？Aはいつまでそうやってんの？もういい加減泣き止んだでしょ？」
俺の膝の上にのって、首に抱きついたままのA。
「ずっとこうでもいいよ？可愛いし。」
そう言って頭を撫でて、頬に当たる側頭部をそのまま頬でスリスリってする。
どさくさ紛れだけど、たまぁに見れる甘えたなAに機嫌も直る。
「君、頭…平気？」
唖然としながら俺に向かって言ったまどかさん。
「J…今日は俺らも強くは言えませんが…程々に…。」
『やっぱ松潤《A》羨ましい。』
同じ事を言ったリーダーとニノの彼女が顔を見合わせる。
「ね？明日美？これ…羨ましい？あんたも頭おかしい部類？」
「私も松潤にギュッてされて頬ずりされたい！」
「…ついてけない…マスターおかわり。」
『フー』ってため息をついて首を横に振って言う。
「あいよ。」
「てか、おっさんあんたも…。」
「だって、Aちゃんのほっぺやぁらかくてスベスベ…おまけにいい匂い『おっさん！』」
あ？！
「お前、どんだけくっついてたんだよ！」
「今の松潤とAちゃん程じゃぁないから…安心して？」
反省してんのか、してないのか…。
やっぱりふにゃふにゃリーダー。
てか…そういう問題か？
「ねぇ〜ニノ〜。オイラもやっぱりAちゃんが欲しい。」
「Aはやんねぇって！」
「あ、間違った。Aちゃんと同んなじ位綺麗で、やぁらかくていい匂いの女の子…探して来てよ。」
「無理です。」
「だから言ってんだろ？Aと同等も以上もいねぇって。妥協しろ！」
「え〜…。」
唇を尖らすリーダー。
「女の子に積極的になったのはいいけど…。」
ため息混じりに呟いたニノは面倒くさそうで。
「なぁ、A？今日俺、まだ『おかえり』もらってない。」
「…おかえり…。」
「そうじゃねぇだろ？電話じゃねぇのに…。」
そう言うとやっと顔を上げてくれて、『おかえり』って柔らかく微笑みながら言ってくれた。
「ただいま。」
思わずいつもみたいにAに唇を寄せたら『ストップ』ってニノの制止の声が聞こえた。
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作者名：しおなな
| 作成日時：2013年10月5日 16時
