１４８：するべき事 〜J〜 ページ28
Aがニノの彼女とマスターの店に行ってるのは知ってた。
俺も、映画の撮影が早めに終わってそこに向かう。
立ったドアの前には『CLOSE』の札。
おっかしいな。
今日は休みで別の店に行ったのか？
そう思い電話をかけると…なぜか涙声のA。
分かり易すぎる言い訳…。
Aの身に何かあったんじゃないかと心配になった俺に…
ーもしもし？J？ニノちゃん。
「何でお前が？」
ーちょっとね。
『ちょっとね？』って何だよ！
「てかAは、何で泣いてんだよ？」
ーおっさんがイジメ過ぎ…
っざけんなよ！
あのヤロー。
ここが『CLOSE』の訳もわかって、ドアを開けた。
俺の方を振り返ったAの目には涙がいっぱいで…頬にも涙の跡が…。
怒りで頭が沸騰する。
メンバーとはいえ、Aを泣かされて黙ってはいられない。
『外でやれ』って言うマスターに従って、リーダーを呼ぶと悪いと思ってるのか意外と素直に立ち上がった。
「J？一応ね…顔はやめといて？」
「…あぁ。あと…翔くん呼んどいて。」
「…了解。」
翔くんを呼ぶ事を頼んだ事で、俺の本気がわかったのか、ニノの顔つきが変わった。
ドアに向かって歩く俺の背中に『潤くん』ってAの小さな声。
パッと振り返ると、
「そんなのいいから…。」
って…目からは涙が溢れてて。
あぁ…そっか。
コイツら殴るよりも先に俺はしなくちゃならない事があったわ。
ゆっくりA近づき、椅子に座るAの前にしゃがみ込むと、俺の首に腕を回して抱きついてきた。
しっかり抱きとめて、頭を撫でてやると漏れ出す嗚咽。
「…っ…。」
「…ごめん。俺が間違ってたな。」
「…っん…。」
泣き止まないAを抱き上げて、椅子に座る。
「…な？もう泣きやんで？コイツらにはちゃんとお仕置きしとくから。」
頭をポンポンとしてやる。
「…ん。」
Aの背中を撫でながら、
「お前ら、Aに救われたな？けどな？二度目はねぇぞ？」
キツく言うと、
「わかってますよ。」
頷く二人。
「てか、お前ら何したんだよ？こんなに泣かせやがって。」
「俺じゃない！おっさんがイジメたの！」
「からかい過ぎちゃった。」
ふにゃふにゃふにゃって笑うリーダーに、怒る気も失せてため息しか出ない。
「多分…松本さんの事を考えて…。」
「ん？」
「松本さんの大切な人だからこその、線引きが上手く出来なくて…いっぱいいっぱいに…。」
あぁ…そういう事か…。
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作者名：しおなな
| 作成日時：2013年10月5日 16時
