１４６：厄介な男 ページ26
マスターが私達の頼んだ料理と、お酒のおかわりを持ってテーブルに置いた。
「今日の貸切代は、どっちに請求すればいい？」
「もちろんJで。」
「ははは。了解。こないだと同じのでいいか？」
「うん。」
頷いた大野さんが、また私の方を見て…っていうかジッと目を見つめられる。
「ねぇ…この後…彼氏に内緒で、俺とイイコトしよっか？」
「〜っ//」
普段の大野さんとは全く違う、低く甘い囁きと男の鋭い視線に身体が固まる。
「…おっさん？いい加減にしないとマジでJにぶっ殺されますよ？」
「Aちゃんも、皆も内緒にしといてくれれば平気だよ。」
『ね？』って顔で私を見る。
いやいや…平気じゃないし。
「幸恵の大ちゃんってこんなナンパな男だったの？『ふにゃふにゃでぽけーっとしてて可愛い』って大騒ぎだったのに…。」
完璧、他人事のまどか。
「ん〜…最近やけに女の子に積極的なんすよね？」
「綺麗なのはもちろんだけど…松潤がそこまでハマる女の子って興味あって。きっとさ？アレも相当いいのかなって…一回試してみたいじゃん？」
！！！
更に固まった私の、視界に同じく固まった明日美の姿…。
まどかは興味なさげにタバコをふかしてる。
「おっさん？サラッと言いましたけど、それ…かなり最低な男の発言すよ？」
「んふふふ。」
「それに、仮に上手く事を運んだとして…きっとその白い身体にはJの真っ赤な印だらけで、そんなん見たら萎えますよ。」
「そっかな？逆に燃えそう。」
『くふふふ』って笑い声。
「あの独占欲の固まりの男ですよ？ハンパない量だと思いますがね？」
「そうなの？オイラに見せて？」
さっきまでの男全開とは違う…ふにゃふにゃ可愛い大野さん。
「この男…侮れない。こういう男が一番厄介なのよ。」
感心した様に言うまどか。
「どこに本心があるかわからないですからね。」
「あなたでもそうなの？もう付き合い長いんでしょ？」
「えぇ。けど、この男だけは…今だによくわかりません。相葉氏とJはわかり易いですが…。」
そんな話しはどうでもいいから助けてよ。
潤くんの仲間なんだし、引っ叩くわけにも、突っぱねるわけにもいかないんだから。
明日美に助けを求める視線を送るも、まだ固まってボーッとしてるし…。
腰に回された腕が、段々上昇してきて、髪を撫でられ…頬を撫でられ…耳を触られて思わず身を捩った。
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作者名：しおなな
| 作成日時：2013年10月5日 16時
