１３９：つぶやき 〜J〜 ページ19
俺から顔をそむけてうつ伏せでグッタリするA。
シャワーを浴び、支度が終わった俺はその横にベットヘッドに背中を預けて座る。
Aの真っ白い綺麗な背中にひとつだけあるホクロにキスをすると身を捩る。
「なんだまだ逃げる元気あんの？」
「…。」
「んな不貞腐れんなよ。」
頭をポンポンってしてやると、
「…『もう無理』って言ったのに…。」
って俺の方に顔を向けて睨む様に見上げられる。
「俺、まだまだいけっけど？」
「…バカ…変態…。」
「はは…ひっでぇなぁ。大好きな彼氏に向かって言う言葉じゃねぇだろ。」
「『嵐の松潤は変態です』って言いふらしてやる。」
「できるもんならやってみろ。」
「…やってやるもん。つぶやいてやる…。」
唇を尖らしながら言うと、また反対側に顔を向けた。
「A？」
「…。」
「A？俺、そろそろ行かないとならないんだけど？」
背中をポンと叩いて『こっち向いて』って合図する。
「…そ。」
「『いってらっしゃい』言ってくんねぇの？」
「…。」
「A？」
「…いってらっしゃい。」
顔を向けたままボソボソと言った。
「A、俺そんなんじゃ頑張れねぇ。」
Aの上から覗き込む様にすると、クルッと向きを変えてチュッと可愛いキスをくれた。
「ふふ。いってらっしゃい。今日も待ってるね？」
って柔らかい笑顔を向けられると、何でもできそうな気さえする。
「あぁ。いいコで待ってて？」
笑ったまま頷くAの頭を引き寄せ『いってきます』のキスをした。
・・・マネジャーの迎えの車に乗り込むと、
「本当にわかり易いですね？」
って苦笑される。
朝が弱い俺がAがいると、目覚めも機嫌もいいって事か？
まぁ…自覚はしてる。
「私としては、毎日彼女さんがいてくれた方のが助かります。」
「んなら味方してよ。」
「チーフには電話で報告しましたが…簡単ではなさそうですよ？」
「そんなの最初からわかってる。」
「わかってても…って事ですか？」
「あぁ。」
「それじゃ頑張って下さい。早速お呼び出しかかりましたんで。」
「んな面白そうに言うなよ…。」
ため息混じりに言って俯いた。
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作者名：しおなな
| 作成日時：2013年10月5日 16時
