１３５：読書 ページ15
セキュリティの頑丈なエントランスを抜け、エレベーターで１８階を目指す。
足早にドアの前まで向かい、キョロキョロ辺りを見渡し解錠をしてドアを開けた。
ドアの中は微かにムスクの香りが漂っていて。
その心地よい香りを感じながらリビングに踏み入れた。
家主はいないってわかってても、真っ暗なリビングは寂しくて。
電気をつけて、買ってきた夜ご飯を温める為にキッチンに向かう。
殆ど自炊する私だけど、さすがに家主不在で勝手にキッチンを使うわけにもいかず。
『好きに使ってくれて構わないよ？』って言ってくれるけど…。
あ、やっぱり日立なのね…ってレンジを見て思ったり。
テレビを見ながらゆっくりご飯を食べて、シャワーを借りる。
再びソファに戻るけどテレビもつまらないし…。
どうしようかと思っていると、ふと視線に入った本棚。
潤くんの性格からか、きっちり綺麗に並べられている本やCD…DVD。
…読書か…。
たまにはいいかもね。
本棚の前に立ち、たくさんの本を物色する。
ん〜…どれがいいかな？
端から順番に一冊一冊見ていく。
…意外…こんな恋愛小説なんて読むんだ…。
題名からして少女漫画の様な…。
潤くんが読む恋愛小説ってどんなのか興味もあって、手に取ってみた。
作品の説明にも、恋愛小説って書いてあって、ますます興味を惹かれて、それを読んでみる事にした。
・・・「A？A？」
身体を揺すられて、『パサ』っと本が床に落ちる音で目が覚めた。
寝ぼけた頭のまま、薄っすら目を開けると、
「ただいま。」
って優しく微笑む潤くん。
「ん〜…。」
「はは。まだ寝ぼけてんの？」
「ん〜…。」
「ホントに眠気に弱いな。」
笑いながら言った潤くんは、私の頭をポンポンとしてからチュッとキスを落とした。
「寝るならベットで寝ろ。風邪ひくぞ？」
「ん…。」
両手を差し出すと、嬉しそうに笑った潤くんが、
「お前が素直に甘えんのは…アノ時と眠い時だけだな。」
って言って抱き上げてくれたから、首にギュッと抱きついて潤くんの匂いを感じる。
「…いつもそんなんだったらいいのに…。」
って呟いて…
「あ、でも…ずっと甘えられてたら俺…お前から離れらんねぇわ。」
って…。
半分寝ている頭でドアを開けると、潤くんがゆっくりベットに下ろしてくれる。
「俺、シャワー浴びて来るから…布団あっためといて？」
布団をかけてくれて、私の額にチュッとして寝室から出て行った。
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作者名：しおなな
| 作成日時：2013年10月5日 16時
