１３２：プレゼント 〜J〜 ページ12
ため息混じりに言った俺の頬を撫でて、そのまま前髪をかき上げた。
「いつ見ても…綺麗な富士額ね？」
「…そうか？」
「ん。睫毛も長いし…羨ましい。」
俺の目の下を親指でゆっくり撫でていた…手が止まった。
…やっと気づいた…か？
「…潤くん？」
「ん？」
「これ…これって？」
「やっと気づいた？おせぇよ。」
『はは』って笑いながら言った。
「…。」
「遅くなったけど…誕生日プレゼント。」
「えっ…だって…お花もケーキも…。」
それと俺の目を交互に見て、今だに状況が理解できないのか…。
「花もケーキも当たり前だけど…昨日用意して。けど、それは…ちゃんと誕生日前に買ってあって。あの日も持って出かけたんだ。」
できる事なら誕生日に渡したかった。
「…ありがと…っ。」
目に涙を浮かべるAを自分の胸に引き寄せた。
「そんなモンでお前が縛れるなら安いモンだ。」
「『縛る』…ふふ…怖い…。」
「あぁ。自分でも思うよ。怖いくらいお前が好きで…怖いくらいの独占欲だって。」
「…。」
「さしずめ、ずっと俺から離れない為の手錠ってとこだ。」
自分でも頭おかしいんじゃないかって思う。
こんな事を台本があるわけでもないのにスラスラ…さも当たり前の様にサラッと言える自分が。
「…覚悟しとけよ？」
「ん？」
「俺をここまでにした責任はきっちり取ってもらうからな？」
「…うん。」
目の前にあるAの額にキスを落とし、身体を少し離す。
「…シャワー行くか？」
「…ん。遅刻しちゃうし。」
「だな。」
Aが上半身を起こして、後を追う様に俺も起こす。
ベットから出ると、素早くAを抱き上げた。
「潤くん？！」
「一緒に浴びよう。」
「え？！」
「夕べ、Aが寝た後、浴びようと思ったんだけどさ？」
驚くAを無視して足を進めるからAも観念したのか、大人しく抱きついてきた。
「お前の寝顔があまりにも可愛くて、離れ難かったんだ。」
「…もぉ〜そんな事ばっかり…。」
「俺…お前が可愛くて可愛くてしょうがねぇよ？」
「もぉ//！恥ずかしい！」
首筋にギュ〜ッて抱きつき照れるAに、笑いがこぼれる。
「なんで笑うの？！」
「お前が可愛いくて…ほら、ドア開けて？」
素直に従ってドアを開けたAと浴室に向かった。
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作者名：しおなな
| 作成日時：2013年10月5日 16時
