７：癒し系 〜J〜 ページ8
だよな…。
こんなに美人な女の子に彼氏…旦那がいないはずがない。
彼氏なら、まだ何とか…。
けど、旦那だったら完璧無理だ。
アイドルに彼女がいるだけでマイナスなのに、不倫だなんて論外だ。
………え？てか俺なんでそんな事考える？
彼女とか彼氏とか…旦那とか…。
そうだ…俺はもうあんな思いしたくない。
相手にもさせたくない。
だから…。
「J？うちのコと握手してやってよ。」
ってニノの言葉でハッとする。
「あ、あぁ。」
右手を差し出すと、ニノの彼女が俺の右手を握る。
「あ〜もう死んでもいいかも。」
そんな大袈裟な事を言って手を離した彼女が、
「Aもしてもらえば？こんな体験滅多にできないよ？」
って言う。
「ふふ。私はいいわ。」
って言って優しく頬笑む。
「まったく、あんたっていっつもそう。欲がないっていうか…。」
「そ？欲の塊よ？」
何て笑いながら言っている。
「和也はともかく、松潤に会ったのに興奮しないし。」
「してるわよ。ただね？元々あなた程の興味が無いって言うの？」
「はは。Aさん結構言う事キツイね？」
『興味が無い』…。
俺らをアイドルとして見て、興味が無ければそんなモンだろう。
けど…その一言で…。
目をギュッと瞑りたくなる程、胸が締め付けられる。
「ねぇ、じゃぁ嵐の中で誰が好きなの？」
あぁ…それはもっと聞きたくない。
「だから、私の話し聞いてた？興味が無いって言ってるでしょ？」
「でも！好みくらいいるでしょ？」
引き下がらない明日美さんに、諦めた視線を送りため息をつく。
「…しいて言うなら大野さん。」
「んふふ。リーダーっすか？」
「はい。あの柔らかい笑い方と声が好みですかね？」
…俺、完璧ダメじゃん。
リーダーの柔らかい雰囲気は俺には皆無だし、あの声だって…。
「ふぅん。大野さんか。てっきり櫻井さんかと思った。」
「ふふ。私、病んでるから癒し系がいいのよ。」
って笑う。
その笑顔でまた胸が締め付けられて…。
でも、そう言った彼女に明日美さんの表情は寂しそうで…目は泣きそうで。
そこに引っかかって。
そもそも『病んでる』って…。
「んじゃ、今度リーダー連れて来ますよ。」
「ふふ。そうね？癒してもらおうかな？」
って寂しそうに笑って言った。
その夜、彼女の寂しそうな笑顔が気になって、気になって…。
胸が締め付けられて…なかなか眠れなかった。
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作者名：しおなな
| 作成日時：2013年7月22日 13時
