４０：彼の世界 ページ41
明日美の彼…二宮さんに誘われて東京ドームのコンサートに行く事になった。
会社で聞いた『チケット取れない』って話。
私が行く事でファンが行けなくなるならと断ったけど、招待客は最初っから決まってるスペースらしくて、一般は入れないから…と。
それでもファンでもない私が行く事に罪悪感はあったし、アイドルの潤くんを目の当たりにしたら、また自信なくしそうで…。
「一回、自分の彼がいる世界を見といた方がいい。」
と言った明日美に頷いて同行した。
初めて生で見るアイドルの潤くんは、画面なんかよりもキラキラしていて…。
私の狭いワンルームでコーヒー飲んでる潤くんとは全く違う…当たり前か。
なんか途中から直視できなくて…潤くん以外の嵐さんを見たり立ったり座ったりを繰り返してた。
控室で嵐さんに挨拶を終え、潤くんに出口付近まで送ってもらう最中も、チラチラ視線を感じて…『やっぱり場違い』ってヒシヒシ感じた。
「…A、平気？」
「…うん。カルチャーショックっていうのかな？」
それと似た様な衝撃。
「わかる…でもさ？好きなら乗り越えないと。」
「うん…わかってるよ。」
「やっと…やっと前向けたんだよ？…ううん…彼の真っ直ぐな思いがそうさせてくれたんだよ？」
「…ん。」
「大河さんの為にも笑って幸せでいないとね？」
頷く私に明日美は柔らかく笑った。
自宅に着いて潤くんにメールを送りシャワーを浴びる。
電話を待っていようかと思ったけど…お風呂上がりに強めのお酒を呑んだらウトウトして…。
「ん〜…。」
ーA？寝てんのにごめんね？
「ん…。」
半分夢の中の私は、聞こえる声が夢なのか現実なのかわからなくて…。
ーA？
「ん…。」
ーはは。ダメか…。んでもさ？玄関開けてよ？
ん？んん？
玄関のドアをノックする音。
半分寝た頭で 玄関まで行き解錠をすると…。
「ただいま。」
って潤くんの優しい微笑み。
「…。」
「…A？おかえりでしょ？」
「あ、おかえり…。」
また棒読みで返す私に、やっぱり優しい優しいキスをくれる。
「やっとキスできた。」
嬉しそうに笑った潤くんは、私を抱き上げてベットの淵に運んだ。
唖然する私を尻目に服を脱ぎ捨てたと思ったら布団を捲り上げて横になる。
「寝よっか？…おいで？」
って…。
唖然としながらも素直に従い潤くんの腕に包まれると、
「正月、ハワイ行くから予定空けといて？」
って更に唖然とする事をサラッと言った。
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作者名：しおなな
| 作成日時：2013年7月22日 13時
