今日…僕は恋をした (ページ29)

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２８：画面越しページ29

テレビの中から潤くんの声が聞こえる。

１週間前に明日美が置いてったDVDを真っ暗な部屋の中でボーッと見てた。

潤くんは、毎日毎日必ず３回はメールをくれた。忙しいのか電話はかかって来なかった。

会いたいって思ったら、こうやって画面越しに会えるし、声だって聞ける。

けど、潤くんは私に会う事はできないし、声だって…。

潤くんは平気なのかな…？
会いたいって思ってるのは私だけ…？

何だかんだ言ったって、久しぶりにできた彼氏に舞い上がってるのは私の方なのかもしれない。

『怖いよ…？怖いけど、和也の事信じてる。』

って潤くんと同じ真っ直ぐな目を私に向けて言った明日美。

『A？不安があるなら言った方がいいよ？きっと受け止めてくれるよ。』

明日美はそう言ったけど、忙しいのであろう潤くんにそんな事言って、煩わせたくないし…。

面倒くさい女だって思われるのもイヤだった。

この人って…本当に私の彼氏なんだろうか？
この間の事は夢だったんじゃないか…。

「ね？大河？」

外そうと思った指輪は、『当分してて』って言った潤くんに従ってまだ薬指に収まってる。

『何で？』

潤くんという彼氏ができたのに、前の彼氏の指輪をしてるなんて…。

『うん？男除け。』

って苦笑いで言った。

『Aさん、綺麗だからそれ外しちゃったら男が群がる。そんなん俺耐えらんないし。』

って真顔で言うから頷くしかなかった。

メールを着信した音が部屋に鳴り響き、画面をタップすると…

『今から呑み会』

ってだけの文章。

芸能界がどんな世界なのかなんて一般人の私が知る由もない。
けど、お付き合いとか…そういった類は普通のサラリーマンなんかより多いんだろうなって想像つく。

けど…けど…、

何だか、私だけが会いたいって、寂しいって思ってるみたいで、惨めで悔しくて…。

それに返信する事はしなかった。