２５：ギャップ 〜J〜 ページ26
「落ち着いた？」
Aさんを落ち着かせる為に、頭から背中にかけてゆっくり撫でていた。
「…ん。」
「俺さ？こんな自由きかない仕事だし、もしかしたら…辛く寂しい思いさせちゃうかもしれない。」
「…うん。」
「けど、けど！Aさんを思う気持ちに嘘はないし、俺も努力するから…だから『松本くん？』」
遮られた事に嫌な予感を感じる。
だから、抱きしめる腕に力を込めた。
『絶対離さないよ』って…。
「…松本くんみたいに眩しいくらいキラキラしてる人が私なんか…『なんかじゃない！！』」
「Aさんは、俺にはもったいないくらいの人だよ？だから、俺の方がお願いしてんじゃん？『付き合って？』って。」
「…ねぇ？」
「うん？」
「…本当の本当に私なんかで『Aさんがいい。』」
少し身体を離すと、涙でぐしょぐしょなAさんが俺を見上げてて。
「てか…Aさんじゃないとイヤ。Aさん以外考えらんない。」
親指で涙を拭ってやると、柔らかく微笑んでくれて。
「もう…その顔が答えだって思っても…いい？」
「…。」
返事をしないAさんに少し傾けた顔を近づけると、ゆっくりと瞼を閉じるAさん。
そんなAさんに、ほんの少し触れるだけのキスをした。
触れていた唇を離すと、鼻と鼻がくっつきそうな至近距離で目が合う。
恥ずかしそうに視線をずらしたAさんの頬に手を添えて、今度は強く唇を押し付けた。
頬に手を添えた反対の手を背中に回して、自分に引き寄せAさんの甘く柔らかい唇を堪能する。
長いキスの後のAさんは、顔が真っ赤でそれがすっげぇ可愛いくて。
「可愛い。」
って頬にキスを落とす。
「恥ずかしい…。」
「Aさんって、そんな可愛い所もあるんだね？」
「…私ってどんなイメージ？」
「ん〜？常にツンツンしてる。」
「…ひど。」
そう言ったAさんと目が合って、お互い吹き出した。
「ねぇ？いいんだよね？」
笑い合って、それが治まりかけた後。
「ん？」
「Aさんは俺の彼女だって思っていいんだよね？」
「…ん。」
顔を赤くして恥ずかしそうに視線をずらしたAさん。
「マジで…。」
「うん？」
「可愛い過ぎでしょうよ。反則…。」
Aさんの肩に額をのせ項垂れた。
「それを言うなら松本くんも…イメージとのギャップが…。」
「ん？」
「ドSの俺様キャラ？」
「…どっちがひでぇんだ？」
「ん？お互い様？」
やっぱり笑い合った。
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作者名：しおなな
| 作成日時：2013年7月22日 13時
