２４：どんな君も 〜J〜 ページ25
泣きそうな困った顔で招き入れてくれたAさん。
ワンルームの部屋に通された。
「コーヒーでいいかな？」
「あ…いいよ。おかまいなく。」
俺がそう言ったにも関わらず、やっぱり困った様に笑ってキッチンでお湯を沸かしてる。
女の子の部屋をキョロキョロと見渡す訳にもいかず、ジッとテーブルを見つめてた。
どれくらい時間が経ったのか…
「どうぞ？」
っとAさんが俺の前にコーヒーを差し出す。
「あ、ありがとう。」
顔を上げてAさんを見ると、微笑んで頷いてくれた。
Aさんの淹れてくれたコーヒーは、インスタントでも美味しくて…。
こんな所でも俺のAさんに対する気持ちを認識したり…。
「Aさん？」
「うん？」
正面に座るAさんも俯き加減でコーヒーを飲んでいて。
「俺さ…Aさんが好きだよ？」
「…うん。」
「俺ね？AさんならどんなAさんでも好きだよ？」
「…ん。」
「大河さんの思いの分まで、俺が大事にするから…だから…俺と付き合って下さい。」
俯いて肩を震わせ泣くAさんに立ち上がり恐る恐る近づく。
やっぱりゆっくり恐る恐るAさんを抱きしめる。
「Aさんの中の大河さんごと、俺にAさんを思わせて？」
「…。」
「ねぇ？お願い…『うん』って言って？」
「…。」
「『うん』って言うまで、俺離さないよ？」
抱きしめる腕に力を込めると、更に泣き出すAさん。
「…俺は、もう…頑張らないで諦める事はしたくないし…。」
「…。」
「Aさん以上に好きになれる人なんて、この先いないって確信してる。」
「…。」
「ねぇ、Aさん？もうひとりで頑張らなくてもいいんだよ？」
俺がそう言ったら、俺に抱きつき大声を上げて子供みたいに泣きじゃくる。
「俺も、Aさんの悲しみや苦しみを一緒に背負っていくから…お願い…俺のそばにいてよ。」
変わらず泣くだけで、一言も発しないAさん。
「…んとに…好きなんだ…大好きなんだよ…。」
泣きじゃくるAさんを潰れるんじゃないかってくらいキツくキツく抱きしめる。
「俺の…俺だけのモンになってよ…お願い。」
自分でも情けないって思える程震える声。
「まっも…くん？」
「ん？」
「くる…かった…。つら…った。」
「うん。もう大丈夫。俺にもその苦しみ分けて？」
頷くAさんを抱きしめたまま、背中を摩りながら泣き止むのを待った。
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作者名：しおなな
| 作成日時：2013年7月22日 13時
