１３：紙 〜J〜 ページ14
もう、誤魔化しはできなくって。
あの偶然会えた夜に自分の気持ちを認めて、受け入れた。
認めたら…受け入れたら楽になるかと思った胸の痛さは、楽になるどころか、痛さが倍増し以上になった。
タクシーがAさんの住んでるであろうマンションの前に着いた。
「松本くん？ありがと。頑張ってね？応援してる。」
そう言って俺の手を握ったAさん。
いきなりの事でびっくりして固まる俺。
「…え？ちょっ…。」
けど、それは…
反対の手に握っていたであろう紙を俺の手に握らせる為で。
ちょっとでも期待した俺がバカだった。
「ちょっと！Aさん！」
ハッとした時には既に遅くて、俺が声をかけたのとドアが閉まる音。
振り返ったAさんは、優しい笑みを浮かべていて、こんな状況なのに見惚れてしまった。
歩き出したAさんの背中をボーッと見ていると、
「どちらへ？」
とタクシーの運転手に聞かれる。
慌てて住所を告げた。
タクシーに揺られながら、Aさんに握られた手をゆっくり開くと一万札。
こんなのいらないから…携帯番号の書いた紙が欲しい。
そんな事マジで思う俺は重症だ…。
和「…って事でいいんすよね？J？」
「あ？…あぁ。」
やべぇ…聞いてなかった。
そんな俺にため息のニノ。
和「頼みますよ。コンサートはJに陣頭指揮取ってもらわないと…。」
「わかってる。ごめん。」
自分に気合を入れる為に頬をパチンと叩き、手元にある資料に目を向ける。
和「J…ずっと聞きたい事が…『松潤〜！』」
ニノが静かに話し出して身構えたと同時に相葉くんの俺を呼ぶ大声。
「何〜？」
雅「ねぇ〜？ここの振りってさ〜。」
和「…行ってやって下さい。」
「あぁ。」
ニノはきっと気付いてる…。
俺がAさんを好きだという事を。
…多分、初めて会った時から俺の気持ちには気付いている。
気付いてて、見て見ぬフリをしてくれていた。
雅「ねぇ、松潤？」
「ん〜？」
相葉くんと鏡の前で振りの確認をしていたから、鏡越しに目が合う。
雅「笑ってないと幸せは来ないよ？」
って満面の相葉スマイルを俺にくれた。
そんな相葉くんらしいストレートな言葉がストンと俺の中に落ちてきて。
「…だな。」
雅「ひっさびさに見たよ、松潤の無邪気な笑顔。」
智「やっぱ松潤って可愛いんだぁ〜。」
っていつの間にか背後にいたリーダー。
「リーダー？俺、そっちの趣味ないからね？」
それにはふにゃって笑って答えた。
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作者名：しおなな
| 作成日時：2013年7月22日 13時
