シンデレラの靴1 ページ7
＊
それから、約束の20分が経って─────
やっぱり20分じゃデパートまで行って、
帰って来るのには無理だよね…
彼はまだ戻ってこなかったんだ。
打ち合わせ時間まではあと10分もない。
あと5分。
あと5分待って来なかったら、
フロントに事情を話して、
ミーティングは今日は
キャンセルにしてもらおう。
それで、彼を探しに行こう。
なんか全然知らない人なのに、
ほんと迷惑かけちゃったよね。
そう決めて、あと5分。
わたしは彼を待ったんだ。
だけどそれでも彼はまだ戻ってこなくて。
あっという間に時間は過ぎていって…
もう時間がない、
フロントに行って事情を話してこよう。
そう思って、立ち上がろうとした時。
『待って！！！』
後ろから彼の声がしたんだ。
＊
『待っててって、言ったでしょ…』
息を切らしながら戻ってきた彼。
よほど走ってきたのか、
膝に手をついて肩で息をしている。
「あ…あのっ…、」
『…はぁ、ごめんっ。』
「ううんっ！
わたしの方こそ、ごめんなさいっ、
買いに行かせてしまって！」
わたしは、
代わりに買いに行かせた、
罪悪感で一杯だった。
『遅くなってごめんなさい。
足、貸してくれますか？』
「えっ…？」
彼の手には、靴の入った白い箱。
その箱から、折れた物と同じような、
黒いヒールの靴を取り出すと、
わたしに、そのまま後ろの椅子に
座るように促す。
えっとー…まさかとは思うけど、
履かせてくれようとしてる？
わたしが椅子に座ると、彼はまるで
シンデレラに、ガラスの靴を履かせてあげる王子様のように、
わたしの前に膝まづいて、
そっとわたしの右足を持ち上げたんだ。
うわーっ！
やっぱりー！
どうしようっ…
こんなの──────ドキドキするよ。
目の前のイケメンと、
そのシチュエーションに、
ドキドキしない訳がなくて。
不覚にも、こんな状況なのに、
わたしの胸は、うるさく音をたてていた。
＊
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 39人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
moco(プロフ) - のりこさん、初めまして！もこと申します！コメントありがとうございました、嬉しくて泣きそうです(TT)いつも誤字脱字が多すぎてすみません。頑張って更新しますのて、また読んでいただけると嬉しいですです！ (2018年3月10日 23時) (
レス) id: 09d7dc74fa (このIDを非表示/違反報告)
のりこ - お話ができる度に楽しみに読ませて頂いてます (2018年3月10日 21時) (レス) id: 9972616781 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：moco | 作成日時：2018年1月29日 19時
