恋する理由【Nino】 (ページ33)

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33:fall in love ページ33

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和「やっぱ俺って天才だな」

「本当は・・・なんていう曲・・なの？」

和「だから、バカのための曲つったろーが」

「・・・バカ、のため？」

和「おーまーえーだーよー」

「・・・むぅ(泣)」

和「まぁ適当に弾いてみただけだけど、なかなかだな」

「・・・・・え？カズが作ったの！？今のっ、この、この曲？」

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バカと言われたことはこの際どうでもよくって。

驚いたり、慌てる私をカズは遠慮なくほったらかしてから

黙ったままキーボードの電源を落として、大きく伸びをすると

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和「バカなくせに、必死に俺をなぐさめようとしてくれたお前に。
ちょっとしたお礼ってとこ」

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笑って私の鼻をぎゅぅっとつまんで。

”寝るぞ”

そう言って椅子から立ち上がった。

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よたよたと歩いて、おやすみ、を言ってドアを閉める。

寒さに身震いを一つして、部屋に戻ろうとしたとき

真っ暗なリビングに、後ろからカズの声が響いた。

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「A」

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和「それ貸してやっただけだから、よだれとかつけんなよ」

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横向きのまま、ただ小さくうなづく。

カズのパーカーなのに、私にもぴったり。

華奢すぎるのよ・・・男のくせに。

少しぶかぶかに感じる方が、なんか・・・ドキドキしそうなものでしょ。

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ぴったりサイズのパーカーは、私の体を優しく包んだ。

ベッドにぽすんと座って、なんとなくフードをかぶってみる。

紐をぎゅーっと引っ張って、笑える恰好のまま寝転がる。

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A。

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そう、呼ばれ、た。

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香水かなにかの甘酸っぱい香りと、タバコの・・・カズの匂い。

フードのなかで、呼ばれた自分の名前がリフレインしてる。

両膝をできるだけ近くに抱きかかえて、小さく小さく丸まった。

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落ち着け、私。

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そんな安易に、まさかそんな。

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名前を呼ばれただけで、恋に落ちるやつなんて

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いるわけない・・・(泣)

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