【恋うた】Disc 1 (ページ8)

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お飲み物はいかがですか？って聞かれて、じゃあ何か冷たいのをと答えたら出してくれたのはカルピス。

お茶とかコーヒーとかあまり好きじゃないからありがたい。

少々お待ち下さいねって言って裏に入った彼は見た目からしてとてもオーナーとは思えないので、やはりアシスタントかな？

カルピスを啜りながら内装を見渡す。

やはり外から見た通り清潔で落ち着く空間だな～
美容室特有の薬剤の匂いが一切なくて、何ならほんのりミントのような爽やかな香りが漂ってる。

あっ、受付台の後ろの隅にアップライトピアノがある。
音楽やってる人いるの…いや、ただのインテリアイテムかも？

なんて、くだらない事を考えてると、

「大変お待たせいたしました」
ショートエプロンを着けたさっきの受付の人が帰ってきた。

ええ？まさかこの人がスタイリスト？！

ちょっと失礼しますねーとひと声かけて、チェックするような動きで俺の髪を触り始めた。

「今日はカットのみですね。もうすぐ夏本場ですし、長さとボリュームをまず調整して…あと襟足と耳あたりは短めにしたほうがいいかと思いますが、いかがでしょうか？」

「…えっ？」
このやり取り、いままでなかったパターンでちょっと追いつけてないけど。

「どうされましたか？」
彼は手を止めて目線を上げたら、鏡越しに目があった。

「いや、いつも雑誌とかを参考にしてるんで…」

「僕、雑誌に載せてる髪型をそのままコピーするのがおすすめしませんので用意してないんです…」申し訳無さそうな口調での説明。責める気これっぽっちもないのに。

「お客さんに似合う髪型をカスタマイズするのがポリシーなんです。もちろんご要望もお伺えしますが…」

つまり主にお任せってこと？

何これ、めっちゃ新しい、面白そう！

「あの…やはり雑誌を参考にしたいんでしたら…」

「あっ大丈夫です！お任せします！」

俺がそう返事したらにこっと笑った(目しか見えないけど)。

「かしこまりました。ではシャンプーからしますね」

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