【恋うた】Disc 1 (ページ7)

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そして翌日。

八百屋のバイト上がりに合わせて11時を予約したんだけど、朝からイメチェンする前特有のワクワク感と初めてのサロンに行く緊張感で妙にそわそわしていて、結局着いたのが10時45分。

近くにある駐輪場に自転車を止めてから目的地に向かう。

ちょっと早すぎたな。開店時間まだだけどもういるかな。

あっ、どんな髪型にするかはまだ決めてない…あとで店内の雑誌でも読んで選んだらいいか

スタイリストさん、どんな人かな…

開店まであと10分、入るの控えて入り口から中を覗いてみたら…

いる。
受付台に後ろに誰かがいる。俺の角度からちょこっと出た頭の一部しか見えないけど。

ふわふわしてる栗色のマッシュカット、そして目元に届くぐらい長めの前髪。ツヤがあってきちんと手入れしてそう。

マスクしてるから顔は見えないけど、優しそうな雰囲気を纏う人。
あれは女性だよな…スタイリストさん？それともアシスタント？

どっちにしてもここにしたのが正解な気がする。

一回深呼吸して、扉に手を伸ばした。

「…こんにちは」

「あっ、いらっしゃいませ」

ん？この声…
確かに高めで柔らかいけど、女性の声とは明らかに違くて…

受付台を立ったその人はそこそこの長身で、体付きも華奢な…男性だった。

顔の半分以上がマスクで隠されてるけど、目が少し細めたことから微笑んでるのが伝わる。

大きな潤いのある瞳とぷっくりした涙袋、それに首筋からわかる雪のような白い肌…

ほぼ毎日山田やら圭人やらと一緒にいるから目が肥えてるはずなのに、つい見とれてたらしく、しばらく無言のまま立ち尽くしたら

「えーと、有岡様ですね？こちらへどーぞ」と、席に案内してくれた。

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