【恋うた】Disc 1 (ページ23)

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「…で？結局そのチネンって子誰なの？」

次の日のリハ室で、他人の恋事情にやけに興味を持っている野郎たちに囲まれて、けいさんとの再会とその後の展開を全部話させられた。

「知念くんはHPの管理人。本業プログラマーでけいさんと昔からの付き合いだからタダでやってるらしい」

「へえ～ノーギャラだからスタッフじゃないって主張したのね～」ゆうとのこの推理にはみんな頷いた。

「でもさーKさんとの関係怪しくない？二人できてんじゃないの？だからあんなにツンツンしてたんじゃない？」

「ああ～それはないな、絶対にない」

“なんで言い切れるんだよ”、“自分の都合のいいように考えてんな”ってまたやじられたけど、そこはかなり自信があるから言えるんだよ？

だってあの二人、全然甘い雰囲気ではなかったもん。ペットと飼い主だもん。

それに、けいさんからの説明もあるわけで…

『ごめんなさいね？あの子、失礼なこといっぱい言ってたんじゃない？』

待たせたお詫びって理由で、前髪をカットしたあとシャンプーまでしてくれることになって、けいさんは優しい力で洗いながらこう言ってた。

『知念はね、いわゆる天才肌で、今までの人生であまり失敗とかの経験なかったの。でもね、ここの
HP最初バグってたじゃん？すぐ直ったけど、その隙間に有岡くんが予約取れっちゃって…あの子めっちゃ悔しがってたの、自分のミスったところが見つかったことに。

今日留守番頼んだ時まだ機嫌が良かったけど、有岡くんが来るって聞いた途端難しい顔になって…』

本人に聞こえないように小声で話すけいさんは苦笑いをした。

『プライド高くてたまに口が悪くなるけど、本当はすごくいい子だよ。たぶん有岡くんと気が合うと思う。

僕が代わりに謝ります。暴言を許してあげてください』

って。

「…優しい人だね」

「だろう？もう～ときめいたよ…」

「…ひか、コイツまじキモいからシバいていい？」

「ああ～どーぞ～」

「なんでだよ！おい！やめろッ！！へそ触んな！！」

「――でもさ、大ちゃんけっこういい情報もらったんじゃない？」

俺が山田とじゃれ合う間に、ずっと聞いてただけの圭人が唐突に切り出した。

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