【恋うた】Disc 1 (ページ3)

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山田と圭人は俺の一個下で、同じ音楽系の専門に通ってた。この二人、そしてもう一人裕翔という後輩とは奴らのオリエンテーションで知り合って、気が合うからすぐに友達になった。

一年しか変わんないが俺は一応先輩なのに、こいつらにけっこういじめられてるけど…まぁそれはよしとしよう。

「あっ、ひか、今晩裕翔空いてるって。終わった後リハやんない？」

「おお。いいよ、圭人も来れる？」

「たぶん大丈夫。あいつ暇だし」

俺を含めてこの連中はみんな音楽ひとすじ。まともな就職活動をせずに世間で言うフリーターになったわけで、山田と圭人と裕翔は各々バイトをしながら、学生時代からやってる『7』というバンドを続けてる。ここのバイトを始めてから元バンドマンの光が時々ベーシストのポジを代打してるんで、今はいろんなライブハウスを転々としてる。

俺はというとプロデュースを専攻したんで、7の曲のアレンジや録音を手伝ってるほか、不定期的にDJの仕事を引き受けてる。

お金はあまり貯まらないけど困るとまでも行かなくて、大好きな音楽ができる、仲のいい友達と一緒に過ごす毎日が楽しい。こんな自由な生活がずっと続くといいなと心底思ってる。

「ひか！おかわり！」

「アホかお前！うちのまかない食べ放題じゃねぇんだよ！二杯目食うんなら金払え！！」

「ええーケチー」

「うっぜ！早く食えや！皿洗いまだ終わってねぇだろ？！」

「痛っ！」
頭叩かなくても…

…ていうか、

「俺またキッチン？もうそろそろホールに回してよーキッチンあっちぃよー」

「お前仕事選ぶ権利あると思ってんのか？バイト君」

「だって不公平過ぎない？！山田と圭人ずっとホールだもん！冷房効いててずりぃよ！！」

「はあ？こっちだって真剣に働いてんだよ！！」
指名された山田が大げさに立ち上がった。

まぁちっちゃいから迫力なんかないけど。

「働くってどうせ女の子たちにチヤホヤされてるだけだろ？」

「あらあらモテてごめんなさいねーちょうどいいブスさんはわかんないだろうけどこっちの気持ち―」

「うわっ、顔近い！こっち来んな！てか俺ブスじゃねえし！！」

確かにコイツありえないほど顔整ってるけど！いっそのことジャ○―ズに入ってもおかしくないけど！！

実際街を歩いてるだけで何回もスカウトされたことも知ってるけど！！！

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