【恋うた】Disc 1 (ページ17)

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差出人のメアド、HPに載せてるのと違う。

個人用なのかも…？という下心で“けいさん”として登録済みだってことはもちろん奴らに黙ってる。知られたら絶対いま以上に揶揄されるし、俺だけ本当の名前(仮)知ってるという優越感を壊されたくないから。

ちなみに、プレゼントはプリザーブドフラワーの花束。
唯一俺のことをからかわなかった裕翔からのアドバイスだった。
お花が嫌いな人いないんじゃない？長く飾れるやつならなおよし！って。
サロンの雰囲気に合わせて、青ベースx差し色オレンジの配色でオーダーした花束が受付に飾られてるのを、次の日に目で確かめた時、裕翔の提案を採用してよかったと思った。

それから毎日のようにSalon K.を通り過ぎてる。
元々通ってる道だから別にわざとじゃないけど、その細い路地に入るたびに自分のストーカー気質にちょっとだけ罪悪感を感じる。

けいさんは仕事中だったり、お店にいなかったり。
ほぼ毎日“今日こそ話せるかも”という淡い期待を抱いて覗き見しに行くんだけど、結局お話できる機会なく、もう一ヶ月ぐらい経った。

もちろん仕事中のけいさんの姿が見れるのは嬉しいよ？嬉しいけど、もうちょっと近づけたいんだよ…

なんでスタイリストさんなの？！接点がなさすぎて無力…
カフェとかコンビニの店員さんなら毎日行けるし、てか絶対毎日行くし…

…なんて、バカみたいな愚痴を口走ったら、お前ただのストーカーじゃん！って、やまひかに鼻で笑われた。

男ならグズグズすんじゃねえ！接点なんて自分で作れ！もっと積極的に攻めろ！って山田が俺の背中をペシッと叩きながら言ってたっけ。

だからそんなのできるなら苦労しないって…

光は、いっそうのこと毎週予約して毎回2mmだけ切てもらうという、ふざけにしか聞こえないアイデアを出した。

そんなのしたらただの営業妨害じゃん！ってつっこんだら、金払うんだから妨害なんかじゃねえよ！むしろありがたいんだよ！との一点張り。

…そうだっとしても、毎週サロンに通える金、持ってるわけねえし…

俺のことをバカにしてからかって楽しんでるこの二人も、真面目に相談に乗ってくれる裕翔も、今日はじめてこの話聞いた圭人も、実は彼らなりにエールを送ってることは分かってるつもり。

だから秘密をすることの後ろめたさがはんぱない。

でもごめん。もう少しこうさせて。

不器用でも慎重に進みたいから。

一歩ずつ、少しずつ、君のほうへ――

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