【恋うた】Disc 1 (ページ11)

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お会計するために受付に行ったら、Kさんは小さく手を振った。

「今日はカットモデルとしてご協力いただいたということで、お会計は大丈夫ですよ」

「えっ、いやいやそんな！！」
あまりにも予想外の発言で戸惑ってると

「本当に大丈夫です。実はこのサロン、まだオープン前なんです」
Kさんはエプロンを外して、受付台から出た。

「たぶん予約システムがバグってたんです。本来なら来週の土曜日からできるはずですが…」

「僕がフライングしたってことですか…？！」

「こちらのミスです。気にしないでください。」そう言いながら、スマートにガラスドアを開けてくれた。「また来ていただけたら嬉しいです！」

店をあとにして、駐輪場へ向かった。
最後までマスク外してなかったな…でもきっとキレイな人だ。

あんなに美しい目の持ち主だもん…

また話したいな。もっと、知りたいな。

……ちょっと待って。

今の、おかしくないか？

今日初めて知り合った美容師さんだぞ？しかも男性だぞ？！

え？どうなってんだ俺？！！

「…有岡さん！」
突然後ろから誰かに呼ばれて、反射的に振り返ったら――

Kさんだった。

俺の元に小走りで近づいてきてる。

思わずはっと、息を呑んだ。

丸みのある顔、白いシャツと同化しそうな真っ白なきめ細かい肌にぷっくりしてる唇…

さっきのあのマスクの下に、こんなに綺麗な顔が隠されてたの？

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