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「おれは、告ったほうがいいと思うよ、絶対成功するから…あっ、もしかして今日告るつもりだった?俺が台無しにした?」
「…ちげえよ。告るなんて考えてもないよ。それよりお前薬飲め!」
強引に持たされて錠剤を俯いて見つめる。
頭の中混乱してる。自分が何を言いたいかがわからない。
何でこんなことになったの…
薮はため息を付いて、俺の髪を撫でた。
「…いいんだよ、今のままで。俺は、今の俺達が好きなんだ。3人でいられるだけで十分だよ」
目を合わせると、クシャッと笑ってくれた。「そっか、バレたか〜やっぱり伊野尾には敵わないな…」
やめてよ、二人とも…
優しすぎて、俺に甘すぎて、バカなんじゃないの?
こんなに甘やかされると、俺、どんどん調子に乗るんだよ?
「そうだ。今日さ、光がお前の様子を聞いて、俺がボケるつもりで“伊野尾は草間彌生の作品になってるよ”って言ったら、あいつ何て言ったと思う?」
光のことを話すと、薮の顔がいつもよりキラキラしてる。
「めっちゃ真剣な顔で、“くさまやよいって、誰?”って聞いたんだよ?マジでアホじゃねえ?」
くだらない話でも、すごく嬉しそうに笑ってる。
俺じゃ、薮をそんなふうに笑わせることができない。
「…やぶぅ…」
「ん?なに?」
「…アイス、食べたい…」
涙を必死に堪えて、適当な理由で薮を去らせようとした。
お願い、ちょっとだけでいいから、一人にして…
「ええ?アイス?どうしよっかな…」薮は困ったように苦笑いをした。「まあ…飯はちゃんと食べてくれたしな。ご褒美に買ってこようか、バニラのやつでいい?」
コクっと頷くと、じゃあ薬飲んで待ってて、すぐ帰るからって、部屋を出ていった。
扉がしまった音とともに、溢れ出した涙がパタッと布団に落ちた。
いいじゃん。
お似合いの二人だって思ってるじゃん。
初めて好きになった人と、初めてできた友達。
この二人が結ばれたら、最高じゃん。
でも、何で…
何で胸が、張り裂けそうなくらい辛いの?
【Pretender】fin.
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yoku(プロフ) - ずみさん» 温かいお言葉をありがとうございます!涙出るほど嬉しいです(;_;)メンバーそれぞれの個性に沿って、言いそうな台詞を考えるのが個人的に楽しいです(笑)いつも亀更新で本当に申し訳ありませんが、これからも楽しんでいただけますように頑張ります:) (2021年6月7日 22時) (レス) id: df50adfb63 (このIDを非表示/違反報告)
ずみ - どんな人物も個性溢れる長編ですし、ストーリーもとても面白いです。読めば読むほど夢中になって、もらい泣きでもする寸前でした。素敵な作品をありがとうございました! (2021年6月5日 23時) (レス) id: 88ff7ddfb4 (このIDを非表示/違反報告)
yoku(プロフ) - みーさん» ま、まさかフォローしてるライターさんからコメント頂けるとは…!とっても励みになります!ありがとうございます!みーさんの作品をいつも拝読させていただいてますのでみーさんも頑張ってください:) (2021年6月4日 23時) (レス) id: d95cf3f703 (このIDを非表示/違反報告)
みー(プロフ) - 切なくて毎回泣きそうになりながら読んでます。素敵なお話をありがとうございます。更新楽しみにしてます。 (2021年6月3日 22時) (レス) id: 163ee9ceaf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:yoku | 作成日時:2020年1月5日 0時