検索窓
今日:2 hit、昨日:42 hit、合計:42,679 hit

14 ページ3

.


「おれは、告ったほうがいいと思うよ、絶対成功するから…あっ、もしかして今日告るつもりだった?俺が台無しにした?」

「…ちげえよ。告るなんて考えてもないよ。それよりお前薬飲め!」


強引に持たされて錠剤を俯いて見つめる。
頭の中混乱してる。自分が何を言いたいかがわからない。


何でこんなことになったの…





薮はため息を付いて、俺の髪を撫でた。

「…いいんだよ、今のままで。俺は、今の俺達が好きなんだ。3人でいられるだけで十分だよ」
目を合わせると、クシャッと笑ってくれた。「そっか、バレたか〜やっぱり伊野尾には敵わないな…」



やめてよ、二人とも…

優しすぎて、俺に甘すぎて、バカなんじゃないの?

こんなに甘やかされると、俺、どんどん調子に乗るんだよ?




「そうだ。今日さ、光がお前の様子を聞いて、俺がボケるつもりで“伊野尾は草間彌生の作品になってるよ”って言ったら、あいつ何て言ったと思う?」


光のことを話すと、薮の顔がいつもよりキラキラしてる。


「めっちゃ真剣な顔で、“くさまやよいって、誰?”って聞いたんだよ?マジでアホじゃねえ?」



くだらない話でも、すごく嬉しそうに笑ってる。

俺じゃ、薮をそんなふうに笑わせることができない。




「…やぶぅ…」

「ん?なに?」

「…アイス、食べたい…」



涙を必死に堪えて、適当な理由で薮を去らせようとした。
お願い、ちょっとだけでいいから、一人にして…



「ええ?アイス?どうしよっかな…」薮は困ったように苦笑いをした。「まあ…飯はちゃんと食べてくれたしな。ご褒美に買ってこようか、バニラのやつでいい?」



コクっと頷くと、じゃあ薬飲んで待ってて、すぐ帰るからって、部屋を出ていった。

扉がしまった音とともに、溢れ出した涙がパタッと布団に落ちた。






いいじゃん。

お似合いの二人だって思ってるじゃん。



初めて好きになった人と、初めてできた友達。
この二人が結ばれたら、最高じゃん。




でも、何で…

何で胸が、張り裂けそうなくらい辛いの?





【Pretender】fin.

【Love Equation】→←13



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (203 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
253人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

yoku(プロフ) - ずみさん» 温かいお言葉をありがとうございます!涙出るほど嬉しいです(;_;)メンバーそれぞれの個性に沿って、言いそうな台詞を考えるのが個人的に楽しいです(笑)いつも亀更新で本当に申し訳ありませんが、これからも楽しんでいただけますように頑張ります:) (2021年6月7日 22時) (レス) id: df50adfb63 (このIDを非表示/違反報告)
ずみ - どんな人物も個性溢れる長編ですし、ストーリーもとても面白いです。読めば読むほど夢中になって、もらい泣きでもする寸前でした。素敵な作品をありがとうございました! (2021年6月5日 23時) (レス) id: 88ff7ddfb4 (このIDを非表示/違反報告)
yoku(プロフ) - みーさん» ま、まさかフォローしてるライターさんからコメント頂けるとは…!とっても励みになります!ありがとうございます!みーさんの作品をいつも拝読させていただいてますのでみーさんも頑張ってください:) (2021年6月4日 23時) (レス) id: d95cf3f703 (このIDを非表示/違反報告)
みー(プロフ) - 切なくて毎回泣きそうになりながら読んでます。素敵なお話をありがとうございます。更新楽しみにしてます。 (2021年6月3日 22時) (レス) id: 163ee9ceaf (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:yoku | 作成日時:2020年1月5日 0時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。