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【Stay with me.】-01-《渡海先生》 ページ30
「んん……。」
ぼやっとした曖昧な意識の中で、
ふわん、と鼻腔を擽ったその香りが彼の存在を認識させる。
「起きたか。」
「おはようございます…。」
「目開いてないぞ。」
「ねむいです…。」
柔軟剤の優しい匂いと、微かに混じっている煙草の匂い。
猫背なその背中に擦り寄ると、より近くに感じた彼の匂いに酷く安心する。
「まだ寝てればいいだろ。」
「午前中外来担当なんです。」
「じゃあ、午後ゆっくりしてろ。」
「ゆっくりは、きっとできないです。」
「‥何で。」
段々意識がはっきりしてきたから、彼の隣に座り直す。
ｺﾃﾝ、と甘えるように彼の肩に頭を乗せれば、ﾎﾟﾝと頭を撫でてくれた。
「今日オペ予定ないの私だけなので、ミッションに呼ばれると思います。」
「‥そうか。」
ﾎﾟﾂﾘ、とそう一言零した彼は、もう一度私の頭を撫でて。
「‥A」
「うん？わっ…、」
私の名前を呼んで、抱き締めなおしてくれた。
「ふふ、征司郎さん。」
「何だ。」
「だいすきです。」
「‥知ってる。」
猫背なその背中に腕を回すと、抱き締める力が強くなる。
「気を付けろよ。」
「はい。」
「無茶するなよ。」
「帰ってきたら、抱き締めて下さいね。」
「‥だったら、無事に帰って来い。」
「ふふ、はい。」
貴方の腕の中に、ちゃんと帰って来られますように。
・
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作者名：和音
| 作成日時：2019年1月27日 13時
