-03- ページ15
*和也side*
「ねぇ。」
「うん？」
「俺に英語教えてよ。」
「へ？」
さっきの彼女と同じように英語の問題集を広げて、
「教えて」とそう言えば、大きな目を見開いて間抜けな声を出す。
「何よ。」
「苦手な教科とかないんだろうなって思ってたから、びっくりして…。」
「俺そんな秀才じゃねぇよ。」
俺のことを秀才だと美化してる彼女に、笑いながらそう告げれば。
「‥何か嬉しい。」
「ん？」
ふふっと柔らかい笑みを零した彼女。
笑うとできるえくぼが可愛いななんて、
大して関係ないことを考えていると、
黒目が大きな愛らしい瞳で俺を捕えて。
「二宮くんのこと、また１つ知れた。」
「‥よかったね。」
「うん。」
はにかみながら、本当に嬉しそうに言葉を紡いだ。
計算も打算もないその純粋な言葉は、破壊力満点。
キスしてぇっていう俺の欲を抑えていた理性は、一瞬で砕け散った。
あー…、もう知らね。
「A。」
「うん？っ、」
俺の呼ぶ声に振り向いた瞬間に、すかさず唇を重ねた。
「っ…、」
これだけで顔を赤くして照れる姿が可愛い。
「‥慣れませんね？」
この甘い雰囲気にのまれて止まんなくなりそうだから、
茶化すようにそんなことを言ってみる。
だけど、俺はこの人の純粋さを見くびっていたようだ。
「す、好きな人とのキスに、慣れるわけないでしょ…っ？」
「えぇ…。」
‥マジこの人何なの。
何で一々こんな可愛いことｻﾗっと言えちゃうわけ。
「な、何か変なこと言った？」
「‥うん、大分反則だわ。」
「え？！は、反則？」
大体そんな潤んだ目で見てくるところとか、超反則でしょ。
・
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作者名：和音
| 作成日時：2019年1月27日 13時
