短編集『恋日記。』【Ｎ】 (ページ1)

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【図書室のキミ】-01- ページ1

茜色に染まる空は、今の時刻を綺麗に映し出す。

「失礼、します。」

先週借りた３冊の本を抱えて、ｶﾗｶﾗと音が鳴る扉をそっと開ける。

ｷｮﾛｷｮﾛと、辺りを見回すと。

「ぁ…、居た。」

探していた姿を見つけると途端に速くなる鼓動と、無意識のうちに緩む頬。

窓際の日当たりのいい位置に設置されたテーブルに、突っ伏して寝ている彼の姿。

最近来るようになった図書室。

最初に来た時にも彼の姿はあった。

最初見た時は、彼は黒縁のメガネを掛けて何かの勉強をしていた。

こうやって彼の姿を見ることが、最近は当たり前になってきて。

ココに居ない日があると、ちょっと心配になって落ち着かない。

「‥気持ちよさそう、だなぁ。」

一定のリズムで上下する背中から、熟睡していることが見て取れる。

一切起きる気配がないその姿を見てると、

あの陽だまりの中は温かくて気持ち良さそうだな、なんて思っちゃうほどに、

彼は気持ちよさそうに寝息を立てていた。

彼のことを想い続けて、今日で丁度2年目。

陽だまりの中に浮かび上がる、その横顔が綺麗で。

初めて彼を見た時は、息をするのを忘れるくらいに見惚れてた。

話したことなんてないけど。

何となく、優しい人なんだろうなって思う。

彼に抱く恋情に気づいたのも2年前。

2年間、私は貴方に恋焦がれてるの。

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