ゆーてぃの妹 #16 ページ16
楽しかった時間も終わりが近づいていた。
「今日はありがとう、すっごく楽しかった！」
侑李「昨日のおわびだから。」
「おわび？」
侑李「僕たちが来たせいで
迷惑掛けちゃったでしょ。」
「そんなことないのに。」
でもありがとね、
といって出来るだけニコッと笑ってみた。
侑李「うん。」
そう言ってプイっと横を向いた侑李くんの耳が
少し赤くなっていた気がしたけど、
見間違いだよねと気にしないことにした。
「じゃあね。」
侑李「待って。送ってく。」
気づけば外は真っ暗だった。
「ほんとに、大丈夫だってば。」
侑李「朝みたいなことになったらどうすんの。
1人で振り払えんの？」
…むぅ。
侑李「ほら、行くよ。」
何を話していいか分からずに黙っていると、
侑李くんが口を開いた。
侑李「これ。」
「え？」
差し出された彼の手には白い封筒があった。
侑李「気が向いたら、来て。
うちの姉がさ急遽来れなくなったみたいで。」
「え、」
コンサートのチケット…
「でも、お金、」
侑李「誕生日プレゼントってことで。
あ、それともいやだった？」
「ううん、そんなことない！
…嬉しい。」
侑李「ゆーてぃ、A来たら喜ぶだろうから。」
もう何年ぶりかな、
自分の正体を隠し続けて、
ライブにも行かないようになって、
お兄ちゃんが誘ってくれることもなくなって。
寂しそうな後ろ姿を何度見てきただろう、
どれだけ気を遣わせたんだろう。
…お兄ちゃんはどう思ってたのかな。
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作者名：鈴花...♪*ﾟ | 作成日時：2016年5月9日 17時
