ゆーてぃの妹 #14 ページ14
目的のカラオケ屋は
本当に駅のすぐ近くにあった。
意外と細い人通りの少ない道が広がっていて、
…ちょっと怖いなぁ。
少し肩をすくめながら歩いた。
もうちょっと、
目の前に建物が見えたところ
緊張、してきた。
カラオケなんて
お兄ちゃんとしか行ったことないし、
てか初めて遊びに行く相手がアイドルだなんて。
緊張しないわけがないじゃん、ね。
「ねえ、君1人？」
「はい？」
「一緒に遊ばない？」
「待ち合わせしてる人がいるので。」
「いいじゃん、まだ来てないんでしょ？」
今どき、こんな口説き方する人いるんだ。
って、私あんまり男の人への耐性ないんだけど。
「やめてください！」
強く引っ張られた腕を
振りほどくことができないまま
だんだんカラオケ店が遠ざかっていく…
待って、
侑李くん…
侑李「ちょっとおじさん、その子離してあげて。」
「はあ？」
侑李「その子、僕の連れだから。」
「なんだ、お前。」
ニヤっ
小悪魔のような笑みを浮かべて
キレイに交わした男の拳。
侑李「ケンカなら受けて立つよ。
僕、よけるのは得意だから。」
「チッ」
諦めたのか去っていった男の背中に
吐き捨てるように彼は言った。
侑李「Aに手出すなんて
お前にはムリだよ。」
あの時の言葉には
どんな意味が含まれていたかなんて
私は知らなかった。
「こわかっ、た、」
震えていた手を押さえるように
ぎゅっと握った。
大丈夫、大丈夫、
もう侑李くんが追っ払ってくれたじゃん。
侑李「大丈夫？」
でもね、あなたの顔を見て安心してしまったの。
「う、うっ、」
ただ涙が溢れたの。
侑李「ちょっと遅かったよね、ごめんね。」
なんで、こーゆーときだけ優しいの。
普段は毒舌なのにさ。
涙を拭ってくれたあなたの手が
私に魔法をかけたのかな。
侑李「行こう。」
握られた手に違和感を持たなかったのも、
普段は可愛らしい
あなたがカッコよく見えたのも。
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作者名：鈴花...♪*ﾟ | 作成日時：2016年5月9日 17時
