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「終わったぁ〜〜！」
荷物を持って教室から出て来た聡くんが、嬉しそうにそう叫んだ。
無事に一週間の試験が終わり、今から夏休みである。
「とりあえずご飯食べたい」
「俺ちょっと寝たいかも」
お腹が減って仕方ない私と、寝不足らしく欠伸をする勝利。釣られて欠伸をした聡くんが「僕の家来る？」と首を傾げた。
「ちょっと昼寝してからお祭り行こうよ。僕の家なら近いし」
「行く」
そして寝る。私と勝利が同時に頷いて、聡くんの家に向かうことになった。途中のスーパーで食料を調達し、久しぶりの聡くんの家への道を辿る。手にはパンパンのレジ袋。家に何にもなくて〜と聡くんが食材を買い込んでいた。
「軽く片付けるからちょっと待ってて！」
「はーい」
バタバタと部屋の中に消えていく聡くんを勝利と２人で見送る。このパターンも毎度のことだった。
「マンション探し進んでるの？」
「……あんまり進んでない」
「まあ試験期間中だったもんね」
「それもあるんだけど、もうちょっとお金貯めないと資金も足りなくて」
勝利の言葉にもそもそと小声で返事をする。貯金は中々貯まらない上に、中島先輩の家は結構居心地が良くて。最近スーモのアプリを開いていない。
「でも早く出ていかなきゃ中島先輩に迷惑だよねぇ」
「うーん、どうなんだろうね」
はぁ、とため息をつく私に勝利は曖昧な返事をする。そこは嘘でも「気にしてないと思うよ」とか言ってくれたらいいのに。まあ、勝利は滅多に嘘をつかないから仕方ないんだけど。
「夏休み中は探してみるよ」
「決める前にちゃんと相談してよ。すぐ変な所に決めるんだから」
「もうしないって」
あれは後がなかったから仕方なくで、と言っても勝利は信用できないといった目で見るだけだった。小姑か、あんたは。
「お待たせー！ 片付けできたよ！」
「長くない？」
「いやぁ、試験期間でいつも以上に部屋が散らかってて……今日はAがいるからさ」
パンツも片付けなきゃじゃん？ と聡くんが笑う。確かに片付けておいてもらわないと困るものだった。
「下着はAがいない日でも片付けといてくれない？」
「洗濯物取り込んで畳むって結構めんどくさいんだよー。あ、普段はちゃんと片付けてるからね？ 試験の時だけだから」
「分かってるよ」
聡くんにも小姑を発揮する勝利に、聡くんが口を尖らせてそう言い返した。
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作者名：ハル | 作成日時：2024年1月11日 16時
