第9話 ページ16
SIDE:綾野
いよいよ最終回の撮影が始まる。
引き続きスペシャル回の撮影があるといっても、やはり一旦物語の区切りがくるから寂しさがこみ上げる。
撮影で使うベンチにはブランケットを羽織ったAちゃんが座っていた。
綾野「寒い?」
『ちょっとだけ。 でもこれあるから大丈夫。(笑) 剛さん寒くない? これ、おっきいから一緒に入れるよ?』
綾野「え〜、じゃあお邪魔しようかな。(笑)」
ブランケットを広げてくれるAちゃんに甘えてブランケットに入れてもらう。
Aちゃんが愛用してるからか、ブランケットからもAの匂いがして落ち着く。
綾野「わ〜、あったかいね。」
『う、うん...。(照)』
Aちゃんの方を見ると頬を赤らめるAちゃん。
そんな反応をされると俺にも可能性があるのではないかと勘違いしてしまいそうになる。
綾野「...もうすぐで撮影も終わりだね。」
『...うん。 いろいろあったけど楽しかったなぁ。』
綾野「俺も。」
『それに、剛さんとの共演でたくさん学ばせてもらって女優としても成長できたと思うし... 何より海音という難しい役に入り込めたのも、剛さんのおかげだよ。 ありがとう。』
綾野「俺の方こそ。 海音がAちゃんじゃなかったら、俺は倫太郎になりきれなかった。 ありがとう。」
お互いがなんだか照れ臭くなってしまう。
綾野「あっ、最近はどう? 何もない?」
『うん。 警察の方も事務所もいろいろ動いてくれてて... ほとんどもとの生活に戻った感じ。』
綾野「そっか。」
『あとは家を探さないと。(笑)』
綾野「家か〜。 今忙しいから調べる時間もないんじゃない?」
『ドラマの撮影が終わったら探そうと思って。(笑) 今はのんちゃんといろんなホテルに泊まってるんだけど、女子旅してるみたいで結構楽しいんだよね。(笑)』
綾野「そうなんだ。(笑)」
『ホテルのパンもすごい美味しいし♪(笑)』
綾野「パン好きだねぇ〜。(笑)」
『ふふっ。(笑)』
Aちゃんの顔色も表情も良くなっていて安心する。
スタッフ「そろそろ撮影入りまーす!」
スタッフさんに声をかけられて撮影の準備に入った。
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作者名:ハムちゃん | 作成日時:2021年6月3日 6時