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樹が帰ったあとの部屋はいつもやけに静かで、無性に俺を寂しくさせる。
部屋を見渡しては、無駄なものが多いと笑っていた君が座っていたスカイブルーのクッション。
そこから香る甘いバニラの匂いだけが、つい先程まで君がここにいたという事実を物語る、唯一の証拠。
樹に出会うまでの俺は、知らなかった。
心のどこかで憧れていた"恋"は、こんなにも幸せで、でも、どうしようもなく苦しいものなのだと。
本来であれば知らないほうが良かったであろう真実を俺に教えたあいつは、とてつもなく意地悪だ。
それでも俺は、この厄介な感情を知る前の生活に戻ることなんてできない。
もう、そんなレベルにまで到達してしまっている。
俺すらも知らない、未開拓な場所に土足で入り込んでは、
恐ろしいほどに綺麗な花を咲かせて去ってゆくあいつが嫌いだ。
でも＿＿＿＿＿＿
枯らさないよう、その花を大切に、大切に育てようと必死になっている自分はもっと嫌いだ。
俺はいつからこんなにも不器用になってしまったのだろう。
昔はもっと、自分にも、自分以外にも素直になれていたはずだった。
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あいる(プロフ) - ことりさん» コメントしていただきありがとうございます！前回のに引き続き、今回の作品も読んでいただけて大変嬉しい限りです。常に一枚上手なjrさんと、そんなjrさんに恋するkymさんのお話を書きたかったので、楽しんでいただけてなによりです(*^^*) (6月3日 10時) (
レス) id: 2081da2ce2 (このIDを非表示/違反報告)
ことり - 今回の作品も大好きです！きょもが病弱で大切にされてて心温まります。 (6月2日 19時) (レス) @page6 id: b593d6990a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あいる | 作成日時：2023年6月2日 14時
