子犬のワルツ ◯ Ninomiya.K

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『………はぃ』


和也「あ、Aちゃん？こちら二宮さん」


『ふふっ、はい(笑)』


和也「なーに笑ってんだよ(笑)」





電話越しに聞こえる二宮さんの声は

いつも通り優しいんだけど

すぐそばでこしょこしょ話されてるみたいで

なんだかくすぐったい





『お疲れさまです、お仕事』


和也「うん、Aちゃんもお疲れ」


『………。』


和也「Aちゃん？」


『…ん？』


和也「なんか喋ってもらえると有難いんですけど(笑)」


『………。』


和也「だから黙んなって(笑)声聞かせて」





無理…



二宮さんが何か言うたびに

ドキドキがおっきくなってくから



今喋ったらきっと変な声が出ちゃう




しばらくの沈黙の後、

話出したのはやっぱり二宮さんで




和也「あー…やっぱいいや。」


『………、』


和也「あなたまだカフェにいるの？」


『え？…あ、…はい』


和也「じゃあ今から行く」


『……ぇ！？』


和也「だからさ、おいしいもの食べに行きませんか？」


『………、』


和也「顔…見せてよ」


『……あの、』


和也「返事」


『…っ、はい！！』





くすくす笑った後

「じゃあ着いたら連絡するわ」って切れた電話





聞こえるのは無機質な機械音なのに

それさえも愛しくて



耳に当てたままのスマホを

ぎゅっと握りしめた

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