子犬のワルツ ◯ Ninomiya.K

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『………こないなぁ』





朝から新着メール問い合わせをしまくって

スマホの画面が指紋でべとべと





きてないって分かっててどうしてしちゃうかな





あれから3日、

3日なんてあっという間で



カフェをあけて(メールを問い合わせて)

お客さんをお出迎えして(メールを問い合わせて)

珈琲をいれて(メールを問い合わせて)

そのうちに辺りは暗くなるからカフェをしめて
(メールを問い合わせて)



ほらね

やっぱりあっという間



今日も同じことの繰り返しで

時刻はすでに23時





『…4日目に突入しちゃうよ』





二宮さんが

とてつもなく忙しいのは分かってる



あの日の別れ際、

車から降りた私を引き止めて





和也「撮影が重なってて終わる時間が不規則なのよ…でも必ず連絡するから」





なんて言われた手前私からは連絡できなくて



いや、

連絡してって言われてもきっとできないんだけど



て言うかそもそも社交辞令だったんじゃないの？



小さくため息をつきながら

【二宮さん】で登録された11桁の番号を目でなぞる





かかってこい



かかってこい





『…かかってこい、』






心の中で繰り返してたのに

いつの間にか口からもれた瞬間




手の中でブルブル震えるスマホ



画面には【二宮さん】の文字が光ってた

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