子犬のワルツ ◯ Ninomiya.K

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「すみませーん」って声をかけられて

お客さんがいたことに今さら気づいた



閉店間際の店内

見渡すとなんでそんな奥にってくらい

死角になる席にキャップを被った男の人





『あの、すみません。ご注文取りに伺うの遅くなりました！』





ペコッと頭を下げてそのまましゃがみこんだら





「見ぃつけた！Aちゃん★…でいいんだよね！？」

って

それはもう嬉しそうに笑うその人は




なんで私の名前知ってるの？なんて

素朴な疑問も言わせてくれないまま



店内をチラッと振り返って

そのままキャップを外した





『……ぁ、』


「はじめましてAちゃん！オレ雅紀、相葉雅紀★」





そう言って

できそこないみたいなウィンクをバチバチして

おひさまみたいな笑顔を私に向ける





相葉「ニノの…、あっ！ニノっていうのはAちゃんの知ってるニノのことだよ？」





「うひゃひゃっ」て豪快に笑って

「聞いてるー！？」って

目の前で大きな手をヒラヒラさせる





相葉「あ、それでね！話それちゃったけどそのニノが！今すっごい忙しいのはAちゃんも知ってるよね？」


『………。』


相葉「よかった、なら話は早いや！」




小さく頷いたのを見逃さなかった相葉さんが

ホッとした顔をして

おっきなバッグをゴソゴソゴソゴソ





相葉「これ！」


『………これ、ってこれ全部…ですか、』


相葉「うん、これぜーーんぶにAちゃんの珈琲くださいな★」





目の前には大量のタンブラー

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