子犬のワルツ ◯ Ninomiya.K

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あ…

また来た





カランカランと来客を知らせる鈴の音



比例するように

どきどききゅんきゅんなるハート



ごっくんしないと何かが出ちゃいそうで

歯を噛み締めながら唾を飲み込んだら





ごきゅん………





て喉から変な音が聞こえた





あぁもう、

あぁもう…！！





この距離じゃ聞こえるはずがないのに

それでも恥ずかしいのは

どきどききゅんきゅん忙しいハートのせい





落ち着け落ち着けって

変な音がしないように

静かに、だけど大量に吸い込んだ空気に混ざって

淹れたての珈琲の香りがする



そしたらふっと肩の力が抜けて

あ、今なら大丈夫かもって

チラッと目だけでドアの方を見た



なのに




そこにいたはずの”彼”はもういなくて

その代わり





「いつものやつ下さいな」





ってコショコショ話するみたいに耳元で聞こえた

少し高めの優しい声




あぁやっぱりダメだ

全然ダメだよ





どきどきが

きゅんきゅんが

止まらない




て言うか加速する




そんないっぱいいっぱいの私を見て





「ははっ(笑)あなたさぁ、いつになったら慣れんのよ」





ってまたコショコショ話すから



子犬みたいな笑顔を向けるその人に





『にっ……、二宮さんのせいです！』





って返したら

意地悪に歪ませた口元をまんまるの手で隠して

「くくくっ」て笑った

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