子犬のワルツ ◯ Ninomiya.K

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『はぁ…』って思いがけず出たため息が

ふるふる震えてるのが自分でも分かる





和也「……Aちゃん」





苦しくて

ただでさえ苦しくてたまらないんだから





『呼ばないで』


和也「…え？」


『名前…呼ばれるとなんかもう…、全部出そう』





もう…意味不明だ



頭の中がぐっちゃぐちゃで片付けられない





和也「出そうってあなた(笑)」





ほらね

二宮さんも呆れて笑ってるよ





和也「Aちゃん、ちょっとこっち見て」


『………。』


和也「出してもいいからちょっとこっち見てみなさいって」





掴んだままだった二の腕を

なぞるように上がってくるまんまるの手が

視界の隅に写ったと思ったら





『…っ、！！』





その手にしっかり包まれた後頭部





『なっ…なに！！』


和也「ナニじゃないでしょAちゃん」





髪を梳くように動く手に

いちいち体が跳ね上がりそうになる





和也「さっきの話…」


『…ぇ！？』


和也「…試してみよっか？」





「ん？」って首をかしげる仕草



きっとファンの女の子たちが見たら

「可愛いー！」ってキュン死すると思う



それは私も一緒で



だけど今、

それどころじゃないのは





和也「黙ってると本当にしちゃいますけど」





そう言って笑う二宮さんが

今まで見たことのない目をしてるから

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