２１４：給料３ヶ月分 〜S〜 ページ9
Aの視線の先には、線の細いシンプルなダイヤの指輪。
散々ネットで見たのとは違う…
これぞ婚約指輪っていうのとは違う、控えめな本当にシンプルな指輪。
思わず値段も確認…
給料３ヶ月分でもないし、俺の貯金でも十分買える値段。
俺、もう少し頑張れるけど？
なんて正直思ったけど、その指輪を見つめるAの目を見て決めた。
まだ指輪を眺めるAに気づかれない様に、美幸さんに目で合図を送ると微笑んでくれた。
「ね？A、これなんてどう？」
わざとらしく、ハートモチーフのピンキーリングを指差す。
「可愛い。けど、ハートは彼氏からのが嬉しくない？こっちのがいいよ。」
って指差した方に決めたフリをして、
「それでは櫻井さん？サイズお直ししときますので。出来上がり次第ご連絡致しますね？」
って美幸さんからの返事をもらい店を出る。
「妹さん、喜んでくれるといいね？」
「だな。さて、Aちゃん？ケーキ買ってこっか？」
「うん！」
あぁ〜、可愛い。
その可愛い笑顔が、あと少しで俺の…
俺だけのモンになると思うと嬉しくてたまんない。
「ケーキはデザート。夕飯はどうしよっか？」
「ん〜ハンバーグ食べたい。」
「ふふ。わかりました。」
繋いだ手を子供みたいに振りながら、ケーキ屋まで歩く。
「プリンにしよっかな？ケーキにしよっかな？」
「両方買ってあげますよ？姫？」
「本当？！すっごい嬉し。翔くん大好き。」
ってにっこり笑った可愛い笑顔を俺にくれる。
「俺も大好き。」
「ふふふ。幸せ〜。」
Aがあまりに可愛いくて、道のど真ん中でAを引き寄せキスをしようとして…
「時と場所を考えてください？バカップルさん？」
声のした後ろを振り返ると呆れかえるニノ。
「お前、どうしたんだ？こんな所で。」
「女んトコの帰り道に、時と場所を考えないでイチャイチャしてるバカップルがいると思ったら…。」
「いっぱいお相手いる、二宮さんは大変ですね〜。」
ってイヤミっぽく言ったA。
「まぁ、それなりに？てか、ニノちゃんもハンバーグ食べたい。」
「ダメ！お前にAの手料理はもったいない！」
「え？ビールまだですが？」
それ言われたら…
んだよ！
今日はすっげぇイチャイチャしようと思ってたのに。
Aをいっぱい甘やかして、いっぱいキスして…
いっぱい…ね？
「あ、おっさんも呼ぼ。相葉さんも。」
結局、こうなんだよ…。
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作者名：しおなな
| 作成日時：2013年7月29日 22時
