２５１：仕草 ページ46
披露宴会場に入場して、会場に隣接しているガーデンで、たくさんのカメラに囲まれてケーキカットをする。
そのまま、そこでケーキビュッフェができる様になっていて。
「さて、Aちゃん？心の準備はいい？」
プリンとケーキを目の前のテーブルに置いた翔くん。
「ちょっと待ってよ！もう皆忘れてるからいい
じゃん。」
「ん？忘れてはないと思うよ？ニノと大野くんの顔見てみ？」
ケーキが乗っているテーブルの少し離れた所で、ビールと日本酒をのみながら、私と翔くんの方をニコニコと胡散臭い笑顔で見てる。
「でも！他の人は忘れてるよ？」
『忘れてませぇ〜ん。翔ちゃん、思う存分どうぞ？』
って司会者さんからマイクを奪って言った雅紀に大歓声が上がる。
「酔っ払い！バカ雅紀！」
雅紀の方を向いて文句言ってたら、ひょいと身体が宙に浮き、いきなりでびっくりしている私を尻目にそのまま椅子に腰を下ろした翔くん。
「ほら、Aの大好きなプリン。」
スプーンにプリンを乗せてにっこり笑った翔くんが、少し首を傾げて『ん？』てする。
ズルい…
私がその仕草と表情好きなの知っててやってる。
パクっと食べると満足そうに笑うと、
「かわい。」
って言って頭をポンポンしてくれて。
おまけに頬にチュッチュッて…。
『翔ちゃぁ〜ん？満足？』
まだマイクを持っていたのか会場に響く雅紀の声。
「ん〜…もう少しいい？」
「〜っ//翔くん！」
『いいよぉ〜。あ、あんね？翔ちゃんとAっていっつもあんな感じなんだよ？翔ちゃんがすっげぇAを甘やかしてんのぉ。』
「雅紀！」
酔っ払ってる雅紀は饒舌に暴露する。
何もマイク越しに言わなくても！
翔くんのお父さんの仕事関係の人もいらしてるのに。
もうせっかくの披露宴がメチャクチャだよ…
泣きそう…
「A？雅紀くんも喜んでくれてるんだよ。俺とAの結婚を一番望んでたのは、もしかしたら雅紀くんかもな。」
「…うん。」
頷く私の頭をポンポンする。
「雅紀くん？マイク貸して？」
素直に翔くんにマイクを渡した雅紀。
翔くんは翔くんで、司会者さんに合図を送り。
『それでは、ここで新郎より新婦へのお手紙を読んで頂きます。翔さん？そのままで読まれますか？』
頷く翔くんが式場の人から白い封筒を受け取る。
あまりに予期せぬ出来事に、翔くんの膝の上で固まる。
目の前の翔くんは、封筒を開けて便箋を取り出し、マイクを自分の口元に持っていった。
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作者名：しおなな
| 作成日時：2013年7月29日 22時
