恋の魔法～Love Potion～６ (ページ45)

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２５０：大好きな赤～S～ページ45

ニノのあり得ない挨拶の後、直ぐにAがお色直しの為に席を立つ。

『新婦Aさんのご希望により、双子のお兄様、雅紀様にAさんをエスコートして頂きます。』

自分の席を離れ、ニノと裕太達のテーブルに椅子を移動して陽気に酒を呑んでいた雅紀くんがいきなり名前を呼ばれてびっくりして立ち上がる。

「はっ？！俺？！」

頷くAに、照れ臭そうな笑みを浮かべながら歩いて来る雅紀くん。

既に立っているAの前に雅紀くんが立つと、Aが右手を差し出して、その手をジッと見た雅紀くんの目が少し潤んで…

でも、しっかりAの手を握り締めた。

その光景を見たAのご両親はやっぱり目を潤ませていて。

俺ももらい泣きしそうになった。

Aが退場してから、ビールを持って俺の所に来たニノと大野くん。

「お前、あり得ねぇだろ。」

「え？何が？ニノちゃん間違った事ひとつも言ってませんが？」

俺のグラスビールを注ぎながら平然と言うニノ。

「んふふ。翔くんとAちゃんの日常を再現するだけだよね。」

「そうですよ。てっきりお姫様抱っこするかと思ってたのに予想に反してしないし。」

「するタイミングが無かったんだ。お姫様のAを抱っこしたかったのに。」

お姫様姿のAを抱っこしてこそのお姫様抱っこ。

あ～ぁ…残念…。

「翔くん？後で期待してる。」

「あぁ。ここまできたらもう恥も何も無いわ。思う存分させてもらう。」

「あんなキスしといて、まだ恥なんてあったんすか？」

「うっせぇ。」

俺も中座する時間になってAを迎えに行く。

俺が黒タキシードに着替えた控室の隣のメイク室では、ドレスも髪型も変えたAの姿。

式のドレスは俺が決めたから、お色直しのドレスはAの好きにさせた。

その決めたドレスは秘密にされていて、今初めて俺も見た。

「どう？」

「うん。可愛い。よく似合ってる。」

俺がそう言ったら嬉しそうに笑った。

Aが選んだのは、Aが好きな赤いドレス。

色こそ、赤だけど本当にシンプルなドレス。

「さて、ケーキを『あーん』しに行きましょ。」

「え？！本当にするの？！」

「うん。こうなったら俺とAの仲の良さを存分にアピールしようかと思って。」

Aがぽかーんと口を開けて俺を見ている。

「お姫様がそんな顔しないの。ま、可愛いけどね。」

呆気にとられてるのか、何も言わないAの手を取り会場に向かった。