２４９：お祝いの言葉 〜S〜 ページ44
披露宴も始まり写真撮影や、ビールを注ぎに来る友達の対応に追われる。
『では、ここで新郎のご友人、同僚でもございます二宮和也様よりお祝いのお言葉を頂戴致します。』
これは本当に悩んだ。
ニノにしようか、裕太にしようか…
大野くんはキャラじゃないし。
でも、ニノが『翔さん？俺が挨拶しますんで』ってニヤリとした怪しい笑みを浮かべて言ったニノ。
立候補してくれるんだったらとニノに頼んだけど…
あの時の笑い方が、ずっと引っかかって、イヤな予感。
「え〜、只今ご紹介預かりました、翔さんの友人兼同僚の二宮和也です。まずはご両家の皆様、本日はおめでとうございます。」
無難にニノの挨拶は進み…
俺との出会いやどんな付き合いなんかを話している。
「そんな翔さんですが…まぁ長い事Aさんにひっそり片思いしてまして。」
やっぱりそうきたか！
「１年…１年もですよ？！陰から見てるだけ。そんな翔さんを見るに見兼ねた僕がきっかけを作ってあげて、やっと告白して、付き合い出したと思ったらヘタレ過ぎて空回りの連続。」
会場内からは失笑が…
話してるニノと、それを見ている大野くんと雅紀くんだけは楽しそうで。
「Aさんを好き過ぎて手を出せない、嫉妬の末に『他の男んトコ行け』発言…挙げ句の果てにはAさんに引っ叩かれて『ヘタレ』呼ばわり…。」
俺…多分、Aもこの場からいなくなりたいって切に思ってる。
「そんな二人をこの１年ずっと見てきたわけです。まぁ、二人に言いたい事はこうして幸せでいられるのはニノちゃんのお陰だと言う事を一生忘れないで下さいって事です。」
まぁ…
うん、感謝はしてるよ。
「あ、あといくらAさんが可愛いからって今日は抱っこして『あーん』はやめといた方がいいと思いますよ？きっと皆様ドン引きでしょうから。」
何なの！マジで！
こんなスピーチってあるか！
二次会ならともかく親族もいる披露宴で！
「まぁ、皆様から『見たい』って言われたら、見せてあげてもいいと思いますけど。」
ニヤリと俺の方を見て言うニノ。
『見たーい！』
って会場内の所々から声がする。
てか、雅紀くんの声が一番でかいから！
「だってよ？翔さん？あ、Aさんの好きなケーキのがいいんじゃない？では皆様、お楽しみは後ほどという事で。簡単ではありましたが僕からは以上です。」
そう言ったニノが『フッ』って笑って頭を下げた。
マジで覚えてろよ！
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作者名：しおなな
| 作成日時：2013年7月29日 22時
