２４５：暫く相葉 ページ40
翔くんが一生懸命作ったてるてる坊主のお陰なのか、梅雨真っ只中なのに晴天に恵まれた今日。
準備も終わり介添さんも一時退室した控室でひとりその時を待つ。
宣言通り、翔くんが選んだウエディングドレスに身を包まれている私。
鏡に写る自分を見て、やっぱり可愛い過ぎたんじゃないかって思ったり。
もう３０だし、あんまり可愛いデザインのは避けたかった私だけど、翔くんが選んだのはプリンセスラインでシフォン素材のふわふわドレス。
『絶対これ！』と譲らなかった。
しかもブランド物で、レンタルとは到底思えない値段。
そこもネックだったけど、どうしてもと翔くんが譲らずこれに決めた。
ドアがノックされて入って来たのはタキシード姿の翔くんで。
「A？準備できた？」
「カッコいい。王子様みたい。」
って見惚れて思わず呟く。
「ははは。俺が王子様ならAは間違いなくお姫様だな。」
笑いながら近づく翔くんが椅子に座る私の前に立ち、
「綺麗だよ。すごくよく似合ってる。」
ってキスをくれる。
「翔くん、口紅ついちゃう。」
「あ、そっか。」
慌てて近くにあるティッシュで口を拭いてる。
「Aがあまりにも綺麗でついね？」
私の方を振り返り優しく微笑む。
「今日はまた暫く『相葉』だ。」
「だな。」
私の手をそっと握る翔くん。
「やっと『櫻井さん』に慣れてきたのに。」
「『やっと』？もう５ヶ月だぞ？」
「そうだけどね？」
「今日は特別だけど、Aはもうとっくに『櫻井A』でしょ？いい加減、俺の嫁さんて実感持ってよ。」
翔くんの顔を見上げると、ちょっと呆れた様に私を見下ろしてて。
「誓いのキスすれば実感持てるかな？」
「そっか。んじゃぁ遠慮なく『ぶちゅぅ』ってしてやるから覚悟してろよ。」
フッて笑う翔くんが私の手を握ったまま跪き、
「では、そろそろ参りましょうか？僕のお姫様。」
白い手袋をしてる手の甲にチュッてする。
その動作、仕草が本当に王子様みたいでキュンとなる。
「フッ。顔真っ赤。」
「〜っ//翔くん、ズルい！」
「俺なんていっつもやられっ放しだし、たまには仕返しだよ。」
って言って私を立たせる。
「皆が綺麗なAを見たくて待ってるよ。」
いつもは繋いでいる手を翔くんの左腕に添えて歩く。
「はは。腕組むって新鮮だな。」
「そうだね。」
翔くんがドアノブに手をかけたと同時に外からドアが開けられて、そこで介添さんが気を使ってくれてたのを知った。
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作者名：しおなな
| 作成日時：2013年7月29日 22時
