２３６：タンクトップ ページ31
やっとの事で順番が回ってきてお賽銭を投げる。
手を合わせて、翔くんとの約束通りに神様にお礼を言った。
「A？いい？」
「うん。」
私の手を引いて出口に向かう翔くんの後ろを、人混みをかき分けながら進む。
鳥居をくぐり抜けて、暫く歩くとやっと人も少なくなって。
「はぁー。やっと一息つけるかな？」
「うん。ね？コンビニでおでん買ってこうよ？」
冷えた身体にはあったかいおでん。
この時間のお夜食なんて、ダイエットの大敵だけど、お正月くらいは…ね？
「はは。Aの好物の大根？」
「うん。」
「それじゃぁ、デザートもお付けしましょう、姫？」
「ホント？！やったぁ。」
ウキウキな気分で翔くんと特別な新しい年の帰り道を歩いた。
・・・「ね？ネクタイこれでいい？」
朝からバタバタの翔くん。
「うん。翔くんはどんな翔くんもカッコいいよ？」
「そうじゃなくて！ご両親の好みとか…。」
「うん。大丈夫。」
「あぁ〜やっぱり、シャツは白が無難か？色付きはやっぱり…。」
ブツブツ言いながら寝室に戻って行く。
いつまで経っても寝室から出て来ない翔くんが心配になって覗いてみる。
「翔くん？時間になるよ？」
クローゼットの前にタンクトップと下着という姿で胡坐をかいて座り込んでいる。
「どうしたの？」
「ねぇ？A？どれがいい？」
まだ着てく服に悩んでる様で。
「私が選んでいいの？」
「あぁ。もうAに任せるよ。」
その場にひっくり返るから、私がスーツとシャツとネクタイを選んでベッドの上に並べた。
「これ着て？」
「うん。」
素直に従った翔くんがズボンを履いて、シャツに袖を通すから、ボタンを留めてネクタイを結ぶ。
「上手になったね？」
綺麗に結べるようになった私の頭を撫でてくれる。
「そ？じゃぁご褒美頂戴？」
「喜んで。」
そのまま私の頭を引き寄せてチュッてしてくれる。
「ふふ。やっぱり翔くんは何を着てもカッコいいよ？」
「ありがと。Aの可愛いさには負けるけどね。」
「もぉ//」
照れる私をギュッて抱きしめて深呼吸を３回。
「A？俺が頑張れる様におまじないして？」
「ふふ。もう緊張してる？」
「あぁ。かなり。家の前着いたら手足震えそう。」
私の首筋に顔を埋めたままボソボソ言う翔くんから少し身体を離して、
「翔くん、大好きよ？私達の未来の為に頑張って。」
って頬と唇にキスをした。
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作者名：しおなな
| 作成日時：2013年7月29日 22時
