２０８：誘い方 ページ3
素直に翔くんの膝に乗った私に、
「A？怒ってんじゃないの？」
って翔くんの方が戸惑ってて。
「うん。怒ってる。」
「そ？」
やっぱりまだ少し戸惑っている翔くんの方にクルッと向いて、
「いっぱい甘やかしてくれたら許してあげるけど？」
って腕を翔くんの首に巻き付けて、覗き込む様に上目遣いで言った。
「…。」
何にも言わない翔くんが、おっきな目を見開いて私の目をジッと見てる。
「ん？ダメって事？」
もう一回聞くと、
「A…。」
って低い声で私の名前を呼ぶ。
「ん〜？」
「そんな誘い方、どこで覚えてきたの？」
「どこって…？」
どこでも無いし誘ってもない。
ただ、甘やかしてくれるか聞いただけ。
「A、いい？俺以外の男に絶対そんな事しちゃダメだよ？」
って真剣に言う。
「何で？」
「何でも！いいから、俺の言う事聞いて！」
ってやっぱり真剣に言うから、
「翔くん以外誰にするの？」
って真剣に聞き直す。
「あ、いや、そっか。」
って煮え切らない返事。
「そんな事よりどうするの？許して欲しい？」
今度は鼻と鼻をくっつけて聞く。
「だから！もぉ〜！」
いきなり叫んだ翔くんが、ガバッと私を抱きしめる。
私の耳に唇をくっつけて、
「許して？」
って甘い低い声で囁く。
「甘やかしてくれるの？」
「あぁ。一生な。」
「なら、許してあげる。」
翔くんの頬にチュッとすると、翔くんも私の頬にチュッチュッしてくれる。
「翔くん？」
「う〜ん？」
私の頬に頬を合わせる翔くん。
「大好きよ？」
「ん。俺も大好き。」
「ふふ。ちゅぅして？」
「早速？」
「うん。」
返事をする私に、そっと唇を重ねて甘いとろける様なキスをくれる。
唇を離した翔くんがコツンと額にくっつけて、目の前の翔くんは優しく微笑んでいて。
「愛してるよ。」
ってチュッて軽いキスをくれる。
「ふふ。幸せ〜。」
翔くんにギュ〜ッて抱きつくと、お風呂の湿気で少し湿った髪を撫でながら、
「もっともっと幸せにしてみせるから。」
って耳元で囁く。
「今のままでも十分幸せよ？」
「それは、俺もだけどさ？」
「ん？」
「…あ、いや。何でもない。」
ん？どうしたんだろ？
少し気になったけど、
「そ？ねぇ、そろそろのぼせそう。」
身体が熱い…。
「うん。じゃぁ俺が髪洗ってあげるね？」
って私を膝から下ろした。
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作者名：しおなな
| 作成日時：2013年7月29日 22時
