２０７：ネクタイ 〜S〜 ページ2
少し身体を離すと、
「翔くん？」
って上目遣いで俺の目を見て遠慮がちに俺の名前を呼ぶ。
「ん？」
「…ネクタイ外してい？」
「…はぁ？！」
予想外の言葉に、思わず大きな声を出してしまった。
「ダ、ダメならいいの！」
って顔を赤らめて俯く。
…。
「どうぞ？」
俺がそう言うと、赤い顔のまま恥ずかしそうにはにかんで、ゆっくり俺の首元に手を伸ばす。
既に緩んでる、ネクタイをゆっくり解いて外してくれるA。
解き終わると、まだ少し恥ずかしそうだけど、どこか満足気に笑って俺を見上げた。
「もぉ〜反則だよ。」
うなだれてため息の俺。
俺がAを翻弄したいのに、俺がされてどうすんだって。
「ん？」
俯く俺の顔を覗き込む。
「Aが可愛いくて、俺死にそう。」
「ふふ。そんな事じゃ死なないよ？」
「マジで俺の心臓ヤバイ。」
「どれどれ？」
俺の胸に耳を当てて『ふふふ』って笑う。
「ホントだ。」
「ね？」
「でも、私も翔くんにドキドキするから一緒だね？」
ってふんわり笑う。
あぁ〜無理！もう無理！！
「Aやっぱり先に『ダメ！お風呂が先！』」
俺の言わんとする事が瞬時に理解できたのか、大きな声で遮られる。
「はいはい。じゃぁさっさとお風呂済ませましょ。」
「翔くん、ちょっと出てて？」
「イヤです。」
「もう！じゃぁ、やっぱりお預け！」
って、洗面所から出て行こうとする。
「逃がすワケねぇじゃん？」
咄嗟に腕を掴み引き留めて、バッと上着を脱がせる。
「翔くん！」
腕で身体を隠しながら怒って。
「はいはい。大人しく翔くんとお風呂入りましょうね？」
「もぉ！恥ずかしい！」
「何を今更。散々俺が可愛いがってきた身体じゃん。何回俺に抱かれてんのよ。」
「〜っ//もう知らない！！」
プイとして、開き直った様に服と下着を脱ぎ捨てると、『バン！！』と大きな音を立てて風呂場のドアを閉めた。
やり過ぎたか？
なんて思いつつも、素直に反応するAがあまりに可愛いくて思わず笑ってしまう。
「何、笑ってんのよ！」
極力笑いを堪えてたけど、やっぱり声が漏れていたらしくて風呂場の中からAが叫ぶ。
俺も服を脱ぎ捨て、風呂場に入るとやっぱりプイとして目を合わさないA。
軽くシャワーを浴びて湯船に入ってAを引き寄せ膝に乗せた。
抵抗もせず、素直に俺の膝に乗ったAに俺の方がびっくり。
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作者名：しおなな
| 作成日時：2013年7月29日 22時
