２０６：ズルい 〜S〜 ページ1
Aにまさかの『一週間お預け』宣言された俺は…
風呂に向おうとするAを腕を掴んで引き留める。
「ね？A？嘘だよね？」
「嘘じゃないよ？」
やっぱりにっこり笑って言うA。
「無理だって！俺、死ぬかも。」
「そんな事で死なないよ。私の事情の時もそれくらいできないでしょ？」
『ね？』って言って俺の赤くなってる頬を撫でる。
「A？お願い〜。ね？本当の仲直りしよ？そうしよう？」
俺ってどんだけ必死なんだよって、自分で笑えてくるけど、背に腹は変えられない。
「え？まだ仲直りしてなかったの？それじゃぁ尚更無理です。ケンカしてる人とそんな事したくないし。」
え？！そういう意味じゃないんだよ！
俺の手を振りほどき、風呂に向かうAを追って後ろから抱きしめる。
「A？俺にさ、Aをいっぱい愛させてよ…ね？」
後ろから耳元で囁く。
確信犯だってバレバレだろうけど、この際仕方ねぇ。
「ん〜だから来週ね？」
あぁ〜もぉ！
ラチあかねぇ！
ひょいっとAを抱き上げ風呂に向かう。
こうなったら強行突破しかねぇな。
「ちょっと！翔くん？！」
「聞こえません。」
「聞こえてるじゃない！」
足をバタバタさせるA。
「コラ、危ないからじっとしてて？」
「だって！ズルい！翔くんズルい！」
そんなのわかってるよ。
洗面所に入り、Aをゆっくり静かに下ろす。
洗面所から出て行こうとするAを後ろから抱きしめて。
「行かないでよ。」
耳に口をつけたまま囁く。
「イヤ！」
「A？いっぱい可愛がって、甘やかしてあげるから。」
「…イヤ。」
お？ちょっと揺れてるか？
「ね？俺の全部でAに『愛してるよ』って伝えさせて？」
「…。」
あと、もう一押し！
「A？俺、Aに甘えられたい。ね？ギュ〜ッてし合おう？」
そこまで言うと俺の方にクルっと向き直り、ギュ〜ッて抱きついてくる。
ふふふ…
堕ちた。
言った事はもちろん本心ではあるけれどもね？
「ん？俺と一緒にお風呂入る？」
微かに頷くA。
「ふふ。そっか。素直に甘えるAはすっげぇ可愛い。大好き。」
頭のてっぺんにチュッてする。
Aに甘えられる事で、俺はすげぇ満たされる。
Aが俺だけに見せる姿っていうのが、俺の独占欲を満たしてくれる。
「んじゃ、お風呂入りましょうか？お姫様。」
もう一度、頭のてっぺんにキスをした。
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作者名：しおなな
| 作成日時：2013年7月29日 22時
