１６４：女子パワー 〜S〜 ページ39
ニノと雅紀くんとなるべく目立たない様にひっそり呑む。
けど、
「翔ちゃん！これ美味い！」
って雅紀くんは興奮して大声で、いつバレるんじゃないかってドキドキする。
ニノだけだったら上手くやれるだろうけど…。
でも、仮にも雅紀くんはAの兄貴だしな…
邪険には扱えない。
「相葉さん、落ち着いて。」
ニノが空気読んで対処してくれる。
そんな時に聞こえた『Aを口説いてる』って大声。
思わず立ち上がる。
「翔さんもちょっと落ち着いて。少し様子見ましょ。今乗り込んだら、Aさんの立場も…ね？」
冷静にそうニノは言うけど、俺は気が気でなくて。
『告れ〜』『堕とせ』『キスしろ』なんて囃し立てる声が聞こえる。
しかも段々大きくなって…。
「無理。」
ガタンと音を立てて椅子から立ち上がる。
「ちょ、翔さん！」
ニノの制止する声が聞こえたけど、当然無視でつかつか歩いてその場所に向かう。
仕切りに腕を預けて、少し様子を見てたけど手を握られてるのを見て…
様子見てられたのは、ほんの一瞬。
ソイツの手を振り払う。
絶句して唖然とする周りの連中とA。
「翔さん、たまにはカッコいいんすね？」
「翔ちゃんカッコいい〜。」
ってついて来たのか後ろから声がする。
「ついて来たのかよ？」
「だって、暴走したら大変でしょうよ。」
まぁ、確かに…。
「二宮さんはわかるけど、何で雅紀までいるのよ！」
やっと我に返ったのかAが大声で叫ぶ。
「いーじゃん、別に。」
「よくない！」
「Aさん？相葉さんは気になって、何で俺らがここにいるかは気になんないの？」
笑いながらそう言ったニノ。
「…そう言われてみれば。」
『何で？』って言う視線を俺に向ける。
それには答える事なく、頭をポンポンすると、
「A？！」
って、大声。
「何？真弓。」
Aがその声の女の子の方を向く。
「そのイケメンが彼氏？」
俺を指差してそう言った。
「うん。」
「てか、後ろの二人もイケメン！」
その女の子が興奮気味言ったその一言で、女の子達が一斉に騒ぎ出す。
『私もそう思ってた』『私ね右側の背の低い方』『えぇ〜高い方が笑った顔可愛い』
…すっげぇな、女子パワー。
男共は引いてるし。
「二宮さんはともかく、雅紀はバカだからやめといた方がいい！」
ってAが言う。
「そこが可愛いんじゃない。」
そうか…
そういうモンなのか？
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作者名：しおなな
| 作成日時：2013年6月21日 14時
