１５９：仕返し 〜S〜 ページ34
Aの嗚咽も収まってきて片腕で抱きしめたまま、片腕で背中を撫でる。
「A？」
「ん？」
「周りのヤツらは知らないけど…俺の中では世界中のどんな女よりAがダントツで可愛い。」
「え？！」
「だから、俺にAが勿体無いの。」
「そんな事『あるの！』」
キツく大きな声で制して抱きしめていた腕を解き、抱き上げて膝の上に乗せる。
「A？俺の事好きならちゅぅして。」
言ってる事はバカっぽいけど、真っ直ぐAの目を見て言った。
涙でぐちょぐちょの顔を近づけてチュッと軽いキスをくれた。
「俺もAが好きだから、ちゅぅしてあげる。」
Aの頬に手を添えてちゅぅ〜っとキスをした。
顔を離して見えたAは微笑んでいて。
「やっと笑ってくれた。」
「ん？」
「Aは笑ってる顔が一番可愛い。」
頬にキスをして、ギュ〜ッて抱きしめる。
「翔くん？」
「うん？」
「我儘言ってもい？」
Aから我儘なんて言われた事は無くて。
あっても『抱っこ』とか『ちゅぅして』とか…
我儘とは程遠い程度。
「ん。いいよ？むしろたまには言ってよ。」
「うん…あのね？」
「ん？」
「あの４人なら大丈夫だけど、もうあんなに大人数のああいう場所には行きたくない。」
「うん。そっか。わかった。」
頭をポンポンしてやる。
「次からは翔くんひとりで楽しんで来て？」
「うん。てか、A行かないんだったら俺も行かないし。」
「え？！それはダメだよ！お付き合いもあるでしょ？」
「そんなんよりAのが大事だし。」
これじゃ俺が我儘言ってる様なモンか。
案の定、Aが眉を下げて困った顔してる。
「ね？俺は平気だから。元々あの４人以外、連絡も取ってねぇし。」
「そうなの？」
「うん。だから平気。アイツらももう無理強いはしないと思う。」
「…それならいいけど。」
まだ少し納得してない顔をしてるA。
「A、大丈夫。」
「うん。」
そう返事をしたAの頭を撫でながらチュッチュッて顔中にキスをする。
「涙でしょっぱい。」
「もぉ〜。」
呆れ顔のAの後頭部に手を回し、顔を引き寄せてそのまま唇を重ねる。
何回か顔の角度を変えてると、Aの唇が俺を誘う様に少し開くから、そこに舌を侵入させる。
…。
くっそ〜…仕返しって事？
逃げんの上手くなりやがって。
堪らず唇を離す。
「もお〜A…。」
「ふふふ。」
Aが嬉しそうに笑った。
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作者名：しおなな
| 作成日時：2013年6月21日 14時
